2009 Fiscal Year Annual Research Report
インド洋大津波の被災・緊急対応・復興過程と社会的メカニズム
Project/Area Number |
20242025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 誠 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30222087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 重好 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50155131)
木村 玲欧 富士常葉大学, 環境学研究科, 准教授 (00362301)
島田 弦 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (80410851)
海津 正倫 奈良大学, 文学部, 教授 (50127883)
木股 文昭 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10089849)
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Keywords | 自然災害 / 津波 / 脆弱性 / 災害復興 / 国際協力 / 地域社会 / インドネシア |
Research Abstract |
バンダアチェにおいて被災後5年目の復興状況に関するフィールド調査を行い、統計資料や行政文書の収集、事例村落における定点観察、NGO担当者などへの復興支援に関するインタビュー、被災者の緊急対応に関するインタビューなどを行った。とりわけ昨年度から継続して被災者の被災体験から被災後4~5年間の生活に関する非構造化インタビューを行い、最終的に20名の被災者の語り全文を日本語に翻訳して分析した。その結果、(1)激甚被災地における住宅復興の進捗状況と、一旦は増大した空き家が外部からの新来者居住によって解消される傾向、そこに関わる地元コミュニティの復興計画と支援組織の戦略との乖離、(2)地方政府の政策レベルにおける津波と紛争からの復興の相互関連、それら二重の剥奪による経済格差の拡大傾向、(3)被災体験に関する被災者自身の語りにおける、津波に関する知識や備えに関わる災害文化の欠落、様々な防災教育の試みにもかかわらず知識の上滑り現象の存在、(4)被災者の被災後4~5年間にわたる移動の来歴、とりわけ被災前居住地への帰還の詳細事情と、帰還による地域復興の加速化傾向という状況を現地で確認するとともに、それらの長期復興に対する意味づけについて考察した。名古屋とバンダアチェおよびジョグジャカルタで、インドネシア側の研究協力者と中間成果について議論するとともに、若手研究者に対する社会調査法のセミナーを行った。また現地治安の一時的悪化にともなって延期していた質問紙調査を、比較研究を念頭に置きつつ対象地域を変更して、2010年8月にジョグジャカルタにおいて実施し、予察的分析の結果、コミュニティベースの復興戦略にかかる地域間の相違を見出した。これらの中間成果の一部は、学術雑誌や学術書、国内外の学術会議で発表するとともに報告書を発行した。
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Research Products
(7 results)