2010 Fiscal Year Annual Research Report
インド洋大津波の被災・緊急対応・復興過程と社会的メカニズム
Project/Area Number |
20242025
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 誠 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30222087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 重好 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50155131)
木村 玲欧 富士常葉大学, 環境学研究科, 准教授 (00362301)
島田 弦 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (80410851)
海津 正倫 奈良大学, 文学部, 教授 (50127883)
木股 文昭 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10089849)
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Keywords | 自然災害 / 津波 / 脆弱性 / 災害復興 / 国際協力 / 地域社会 / インドネシア |
Research Abstract |
バンダアチェにおいそ過年度に収集した被災者の語りを詳細に分析し、被災と生活再建の状況について明らかにした。特に、この間の住居移動に関する考察から大災害時には、時間の概念とともに、被災地と非被災地とをめぐる地域の概念が平時の構造を受け継ぎながらも変化することを指摘した。これらの論考は、三陸地方における被災体験との比較も踏まえ、インドネシア語で出版した。懸案であった、復興に対するコミュニティの役割に関する質問紙調査をバンダアチェ周辺の非被災地も含む広範な地域のコミュニティリーダーを対象として行った。ジョグジャカルタ地域で行った調査との比較検討から、アチェでは大きな社会変動が起こり、コミュニティと政府との矛盾とともに巨大な外部支援の影響によって、それが十分に機能し得なかったことを、津波型と地盤型というハザードタイプや元々のコミュニティの性格、政府の復興戦略などの違いに着目して明らかにした。これらのほか、最終年度に当たる今年度は、バンダアチェにおける定点観察を継続し、6年目の復興状況に関して、(1)インフラや生活・経済再建、(2)住宅や集落復興とコミュニティ再編、(3)個人および集合レベルにおける災害文化の定着度などの諸点について現地調査を行うとともに、(4)改めて、津波被害状況と地理的条件、(5)スマトラ断層などの他の潜在的リスクなども検討し、世紀の大災害と呼ばれたスマトラ地震津波を総括する学術書の出版計画に着手した。アチェでは学生に対する社会調査セミナーを、ジョグジャカルタでは学生および地方政府担当者を対象とした災害対応セミナーを研究協力者と協力しながらそれぞれ実施した。これらの成果の一部は、学術雑誌や学術書、学術会議で発表するとともに、現地研究協力者からも寄稿してもらいながら2冊の報告書を発行した。
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Research Products
(8 results)