2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本の階層状況の解明―ミクロ-マクロ連結からのアプローチ
Project/Area Number |
20243029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 嘉倫 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90196288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 博之 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (60135647)
尾嶋 史章 同志社大学, 社会学部, 教授 (30177224)
斎藤 友里子 法政大学, 社会学部, 教授 (80278879)
三隅 一百 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (80190627)
石田 浩 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40272504)
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Keywords | 社会階層 / 社会移動 / ミクロ-マクロ連結 / 社会格差 / 不平等 / 階層意識 / 公共性 |
Research Abstract |
本年度は研究プロジェクトの最終年度なので、研究成果報告書に所収する論文執筆のための研究会を開催し、全3巻および別冊1巻の報告書を作成した。また一般図書(全3巻)を東京大学出版会から刊行するための原稿も集まり、現在、刊行準備中である。これらの報告書や図書において、多くの知見が得られている。戦後日本社会の人口学的変動や教育制度・労働市場制度の変遷をマクロな要因として捉え、それらが人々の教育達成や社会移動に及ぼす影響をイベント・ヒストリー分析や階層線形モデル等によって分析した。その結果として、近年になって上層ホワイトカラー層と非熟練ブルーカラー層で世代継承性が高まっていること、転職可能性はどの階層でも高まっているが、所得の増加を伴う転職は上位階層に多くみられること等が明らかになった。日本・韓国・台湾の比較分析では、各国の労働市場の制度の違いが社会移動や階層構造に及ぼす影響を分析した。その結果として、日本では日本型雇用慣行が人々の報酬を大きく規定するとともに階層構造を多次元化しているが、台湾では職業が強い規定要因になっていて、韓国は日本と台湾の中間形態であること等が明らかになった。さらに社会意識の研究においては、資源分配システムの挙動に関する不公平感は市場の競争性の急激な増加によって高められるが、分配システムの帰結に関する不公平感は市場の寡占性の急激な増加によって高められることが明らかになった。また階層帰属意識が階層的地位によってだけ規定されるのではなく、個人がその地位を「いつ」、「どこ」で得たのかにも規定されていることが明らかになった。
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Research Products
(114 results)