2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会的ネットワークを考慮した参加型マルチエージェント交通行動シミュレータの開発
Project/Area Number |
20246084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉井 稔雄 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (90262120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 輝 京都大学, 工学研究科, 助教 (00343236)
北村 隆一 京都大学, 工学研究科, 教授 (60252467)
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Keywords | 参加型シミュレータ / 社会的ネットワーク / 交通施策評価 / 交通需要予測 |
Research Abstract |
従来の需要予測は個々人の意思決定が独立に行われるという前提で,モデル化等の手法が確立されてきた.その中でも近年マイクロシミュレーションアプローチが注目されているが,本申請課題ではこのシミュレーションアプローチを,従来考慮されてこなかった個々人間の意思決定における相互作用を考慮した,マルチエージェント型の交通行動シミュレータへと拡張し,このシミュレータに被験者が参加する実験環境すなわち参加型シミュレーションを提案し,局所的な交通施策(ロードプライシング,流入規制等)が都市交通システム全体に与える影響を分析することを目的とする.本年度は,従来の交通行動シミュレータと動的交通流シミュレータを統合したマルチエージェントシミュレータの設計ならびにプロトタイプの開発を行い,さらに入出力のインターフェースを整え,ソフトウェアとしての完成度を高めた. また並行して,マルチエージェントシミュレータが作り出す仮想空間に,被験者が参加する実験環境を設計した.設計にあたり重点的に検討した点は以下の2点である. 1. 交通状況の内生的変化の実現:従来型の予測手法による施策評価では,人々の行動変化は,実装されているモデルの説明変数と,施策実施に伴う環境変化を記述する外生データに影響を受ける.しかしながら,環境変化は個々人の相互作用の結果として創発されるものと考えれば,内生的に変化させなければならない.本実験環境により,個人の行動変化が周囲に及ぼす影響と,さらにその結果創発された全体からフィードバックされる個人への影響を内生的に作り出す調査・実験が可能となる. 2. 参加型実験を繰り返し行える環境の実現:これにより交通行動に関するday-to-dayの学習過程を分析することができ,交通施策が個人内の変動に及ぼす影響,すなわち長期的な影響を把握することが可能となる.
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Research Products
(2 results)