Research Abstract |
初年度にあたる平成20年度は,これまでに行われたダイバータ実験(ローカルアイランドダイバータ実験および閉構造化前の「開」構造ヘリカルダイバータ実験)のデータ解析を進め,知識の体系化を図るとともに,ローカルアイランドダイバータ実験で発見され,今後さらなる進展が見込まれる「内部拡散障壁(IDB)」の形成を伴う「超高密度(SDC)プラズマ」の理論研究も精力的に行った.IDB-SDC放電では,プラズマの中心圧力が十分上昇するとIDBが崩壊し,中心部の粒子が吐き出される様子が観測されている.この現象を説明するためにバルーニング不安定性を想定した電磁流体力学に基づいたシミュレーションを行い実験結果との比較を行ったところ,両者は定性的に一致することが明らかになった.また,IDB-SDC放電時の高中心圧力が周辺エルゴディック層に与える影響についても実験,理論の両面から調べられた.HINT2コードを用いた理論計算によると,低圧力時に存在する小さな磁気島が,圧力の上昇に伴って磁気面を大きくエルゴダイズすることが予想されていたが,詳細な密度分布計測で,周辺領域における密度分布の平たん化という,磁場構造の変化を示唆するが実験結果が得られた.一方,温度分布は密度分布とは対称的に急峻な勾配を維持しており,この領域における粒子・エネルギー輸送が,古典的な理論モデル(レチェスター=ローゼンブルースモデル)で予想されるものと,異なる性質のものであることが明らかになった.以上に加え,本年度よりダイバータを閉構造化するための,ダイバータ板,バッフル板,真空ポンプなどの工学設計を開始した.また閉構造ダイバータ実験開始に備え,計測器(主として周辺プラズマ計測)の準備も開始した.
|