2008 Fiscal Year Annual Research Report
パルス中性子透過分光撮影法の透過断面積変化の解明と新応用分野の開発
Project/Area Number |
20246136
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鬼柳 善明 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (80002202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古坂 道弘 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60156966)
加美山 隆 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50233961)
持木 幸一 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (80107549)
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Keywords | 放射線工学 / ビーム科学 |
Research Abstract |
パルス中性子透過法によって、屈曲した鉄材の中性子波長依存の透過スペクトルを得た。ブラッグエッジ付近の形状の変化を位置依存で系統的に観測することができた。これは結晶子の向きの分布によるものと推測された。それを明らかにするために、この効果を考慮した中性子断面積を計算コードに組み込み、フィッティング計算ができるようにした。このコードを用いてデータ処理を行い、向きの分布に関する情報を得、屈曲部の周囲に異方性が強く表れることが分かった。解析コードは世界最初のものであり、透過分光法で向きの分布を得たのも最初である。この結果から今後この方法を発展させ、より多くの結晶タイプについて組織情報を得られる見通しが得られた。また、この測定で得られた高統計データを用いて、同じコードを用いてブラッグエッジの位置(結晶面間隔)の変化を解析し、結晶の歪みの2次元分布を取得し、残留応力評価など実用上重要な情報を得られることが証明できた。 加速器駆動原子炉のターゲットや高速炉の冷却材の候補と考えられている鉛ビスマス材料は固化時に膨張するため、その機構が問題となっている。この物質について固化時の結晶相の変化の位置依存についても透過法で測定し、膨張の原因となるガンマ相の生成が急冷した試料において大きいことが示された。また、急冷試料の方が徐冷試料よりも結晶分布が均一であることが、中性子透過法で示されたが、表面観察でもそのことが実証された。結晶相の位置依存の時間変化を観測でき、この手法が重金属内部の結晶組織構造の評価に有用であることが示された。
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Research Products
(7 results)