2011 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体を用いた次世代エネルギー変換・貯蔵デバイスの開発
Project/Area Number |
20246140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (30237911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野平 俊之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (00303876)
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Keywords | イオン液体 / 燃料電池 / キャパシタ / リチウム二次電池 / ナトリウム二次電池 |
Research Abstract |
A-1.フルオロハイドロジェネート系イオン液体の無加湿燃料電池への応用 重合法の改良や架橋剤などの導入により、EMPyr(FH)nF系イオン液体のポリマーコンポジットへの保持力を増大させ、かつ機械的強度が上がり、再現性のよい出力特性が得られ、無加湿状態時に運転温度の上昇に伴い出力特性の向上が得られるようになった。 A-2.フルオロハイドロジェネート系イオン液体のスーパーキャパシタへの応用 フルオロハイドロジェネート系イオン液体を電解質に用いたキャパシタでは二重層容量に加えて(FH)nF-の還元による水素ガス発生または吸着水素の生成、また、正極側では活性炭の表面官能基のフッ素化を伴う酸化により、疑似容量が発生していることが明らかになった。EMIm(FH)1.6Fを電解質として用いることにより100℃~-40℃Cの広い温度範囲で充放電が可能であることを確認した。 B-1.イミド系イオン液体の金属リチウム二次電池への応用 二元系(Li,K)TFSAを電解質、LiFeP04を正極活物質、Li金属を負極活物質とした電池は443Kで安定した充放電が可能で、レート1Cにおいて、10サイクル目の放電容量は141mA h g-1であり、中温域で用いる安全かつ出力密度の高い金属リチウム二次電池用電解質として有望であることが分かった。 B-2.イミド系イオン液体のナトリウム二次電池への応用 二元系(Na,K)FSA系を電解質として用い、正極活物質としてNaCrO2、負極活物質として金属ナトリウム電極を用いたナトリウム電池において,レート約C/5での初回の充電容量および放電容量はそれぞれ84.8および77.3mA h g-1であった。20サイクル目の放電容量は73.5mA h g-1でクーロン効率は99.9%であり、可逆的な充放電が行われていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フルオロハイドロジェネート系イオン液体の無加湿燃料電池への応用は無加湿状態で再現性のある安定した出力が得られるようになり、今後コンポジット膜やMEAの作製法の改善により順調な性能向上が期待される。フルオロハイドロジェネート系イオン液体のスーパーキャパシタへの応用はアニオンのHF組成を制御することにより広範囲の温度領域での作動が可能になった。イミド系イオン液体の金属リチウム二次電池への応用では将来の価格低下が見込める(Li,K)二元系塩を用いて高エネルギー密度化が期待できる。イミド系イオン液体のナトリウム二次電池への応用では資源的に豊富な(Na,K)二元系塩を用いた電池が良好に作動することが示され、実用化が大いに期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
フルオロハイドロジェネート系イオン液体の無加湿燃料電池については架橋剤の添加量やリビングラジカル重合法を用いたコンポジット膜の作製法の改善、ホットプレスを用いたMEAの作製法の改善により発電性能向上を図る。フルオロハイドロジェネート系イオン液体のスーパーキャパシタについては柔粘性イオン結晶を用いることにより、安全性や作動信頼性を高めるなどして特長をもたせる。イミド系イオン液体の金属リチウム二次電池では特殊用途を念頭に置き、三元系塩を用いて高出力化を目指す。イミド系イオン液体のナトリウム二次電池は負極の合金化等によるサイクル特性の向上、有機系イオン液体の導入による広温度領域での作動を図る。
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Research Products
(45 results)