2010 Fiscal Year Annual Research Report
転写・翻訳を担う超分子複合体RNAポリメラーゼおよびリボソームの結晶構造解析
Project/Area Number |
20247008
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横山 茂之 独立行政法人理化学研究所, 生命分子システム基盤研究領域, 領域長 (00159229)
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Keywords | 転写 / 翻訳 / RNAポリメラーゼ / 転写因子 / リボソーム / 翻訳開始因子 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
転写:高度好熱菌RNAポリメラーゼ(RNAP)とその働きを阻害するタンパク質Gfh1との複合体のX線結晶構造解析に成功した(Nature,2010)。Gfh1はRNAPのNTPの取り込み口(セカンダリチャネル)に結合してこれを塞ぎ、転写を阻害することが明らかになった。さらに、この複合体では、RNAPはこれまでに見いだされていなかった新たなコンフォメーションをとっており、RNA合成に必要とされるRNAPの構造状態のひとつがGfh1によってトラップされたものと考えられる。転写制御因子を結合した細菌のRNAPの結晶構造は世界初であり、転写とその制御のメカニズムを明らかにした意義は大きい。 翻訳:翻訳の正確性を担う真正細菌由来の高分子複合体「グルタミン・トランスアミドソーム」のX線結晶構造解析に成功した(Nature,2010)。本結晶構造により、グルタミニルtRNAの2段階反応がどのように効率よく行われているかが明らかとなった。また、翻訳の過程でセレンをタンパク質に取り込むために不可欠なリン酸化酵素とtRNAとの複合体の結晶構造解析に成功した(Mol.Cell,2010)。さらに、真核生物由来の翻訳開始因子についても、いくつかの構造解析可能な結晶を得ることができている。高度好熱菌のリボソーム-翻訳因子複合体および真核生物のリボソームについては、構造解析を行うために引き続き実験を進める。
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Research Products
(14 results)