Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 俊策 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (50125712)
近藤 徳彦 神戸大学, 発達科学部, 教授 (70215458)
上田 博之 大阪信愛女学院短期大学, 人間環境学科, 教授 (00203448)
石指 宏通 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50260807)
芝崎 学 奈良女子大学, 生活環境学部, 准教授 (00314526)
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Research Abstract |
本研究では女性の若年成人と高齢者に対し,下肢温浴テスト,アセチルコリン誘発性発汗テスト,皮膚の温覚・冷覚閾値テストを負荷し,女性において体温調節機序の老化がどのような順序で出現するのか,さらに男性の結果と比較して老化の性差を検討した.(1)下肢温浴テスト:女性の発汗機能および皮膚血管拡張機能も,男性と同様に,老化に伴い低下し,その低下は中枢機構より末梢機構で早期に出現し,その低下は下肢→躯幹後面→躯幹前面→上肢→頭部と順次進行する可能性が示唆された.なお,若年成人で観察された発汗機能の性差(女性の発汗機能は男性より低い)は,老化に伴い消失することも示唆された.(2)アセチルコリン誘発性発汗テスト:女性の直接刺激性発汗(汗腺自体の要素を反映する)は男性と同様に老化に伴い減弱し,逆に軸索反射性発汗(交感神経節後線維の要素を反映する)は亢進したことから,末梢機構では汗腺自体の老化が交感神経節後線維の老化より早期に出現する可能性が示唆された.上記の下肢温浴テストと同様に,直接刺激性発汗において,若年成人で観察された発汗機能の性差(女性の発汗機能は男性より低い)は,老化に伴い消失する傾向だった.(3)皮膚の温覚・冷覚閾値テスト:女性の皮膚の温・冷覚感受性は,男性と同様に,老化に伴い鈍化し,若年成人で顕著だった性差(女性が男性より鋭敏である)は,老化に伴い消失する傾向だった. 以上の結果から,ヒトの体温調節機能を全身協関的視点から考察すると,1)男女とも皮膚温度感覚や汗腺それ自体の作用が交感神経節後線維や体温調節中枢の作用より早期に老化すること,2)若年成人で観察された性差(女性の汗腺機能の抑制は皮膚血管拡張機能の促進や鋭敏な皮膚の温度感覚で代償されている)が老化に伴い消失すること,が示唆された.
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