Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 俊策 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 教授 (50125712)
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
上田 博之 大阪信愛女学院短期大学, 看護学科, 教授 (00203448)
石指 宏通 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50260807)
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Research Abstract |
本研究では,温熱的環境適応能の老化を全身協関的視点から検討した.(1)20,40,50,60歳代男性を対象とした検討において,20歳代に比し,出力系の指標とした軸索反射性発汗(AXR)には60歳まで低下がみられなかったが,入力系としての皮膚の温覚・冷覚閾値では50歳代から,効果器系としての直接刺激性発汗(DIR)では60歳代から,それぞれ低下が観察された.これらの結果は,体温調節機序が,昨年度報告した女性と同様に入力系→効果器系→出力系の順序で老化することを示唆する.(2)女性の高齢者と若年成人で5月から1月まで年5回検討したDIR・AXRの結果に基づき,高齢者は若年成人より,いずれの季節も汗腺機能が低く,その季節変化も小さく,夏季に向けた汗腺機能亢進の遅れが観察された.この遅れは前腕より大腿で顕著だった.(3)上記(1)および昨年度の女性のデータと日常歩行量・最大酸素摂取量・身体的特性を重回帰分析した結果,汗腺機能は日常歩行量・最大酸素摂取量と関連したが,皮膚の温覚・冷覚閾値にはその関連性はみられなかった.そのため,汗腺機能の老化は運動習慣の確立で遅延できることが裏付けられたが,皮膚温覚・冷覚閾値の老化防止策は今回の指標からは見出せなかった.(4)指背部の表皮単一汗腺の導管を光コヒーレンストモグラフィーで視覚化し,その大きさと長さを高齢者と若年者で比較した結果導管の大きさについては,年齢による違いが,いくらかではあるが判別でき,高齢者のそれは若年者より小さい傾向だった.しかし,大きさや長さを判定する方法には表皮の構造などの違いも影響するため,今後これらを考慮した評価法の改善が必要である.(5)運動時における大腿筋脱酸素化量(動静脈酸素量の差を反映)の空間不均一性を時間分解・近赤外分光装置で計測した結果,年齢に関わらず負荷強度の増加に伴って脱酸素化量の空間不均一性は減少した.その減少の程度には年齢の影響は小さい傾向だった
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