2009 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛シグナルの分子機構とその免疫などの生体反応における役割
Project/Area Number |
20249030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平野 俊夫 Osaka University, 生命機能研究科, 教授 (40136718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 正晃 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (00250514)
上村 大輔 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20391922)
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Keywords | 亜鉛 / 亜鉛トランスポーター / 免疫反応 |
Research Abstract |
我々はSTAT3がオーガナイザー領域において活性化され、原腸陥入時の細胞運動を統御することを明らかとし、そのときのSTAT3の標的遺伝子として亜鉛トランスポーターZip6を同定した。ついで、亜鉛が樹状細胞にてTLR信号の細胞内シグナル分子として機能してその活性化制御に重要であること、マスト細胞へのFcεR依存性の細胞外刺激に伴って粗面小胞体付近から遊離亜鉛濃度の上昇が短時間で起こる事(亜鉛波)を明らかにした。このような背景で、我々は、1) 細胞内亜鉛シグナルの普遍性を確立すること、2) その分子機構を確立すること、3) 亜鉛や、亜鉛シグナルの免疫反応や各種生体反応、また、免疫病や各種病気における役割を明らかにするとともに、その作用機構を分子のレベルで明らかにすることを決意した。本年度は以下の5つの研究を行って結果を得たので以下に報告する。(i) GFP融合分子ライブラリーを用いた亜鉛信号関連分子の同定:先年度までに1200個あまりの遺伝子をスクリーニングした結果、1つの遺伝子産物が細胞に亜鉛添加後、核から細胞質領域に移行することがわかった。その移動速度はメタルセンサーであるMTF1のそれと同様で2時間から3時間程度の亜鉛処理にてはっきりと認められるほどであった。現在この分子の核局在の分子メカニズムを亜鉛結合性と関連して解析している。(ii) マスト細胞における亜鉛波の機序の解明:亜鉛波の発生がチャネルの阻害薬にて抑制された。現在shRNAによって分子をノックダウンしたときの亜鉛波の発生を検討している。(iii) マスト細胞でのZnt5分子の役割を論文発表した(J. Exp. Med 2009)。(iv) Zip13によるSmadの核移行のメカニズム解析:Zip13のリコンビナントタンパクを作製した。今後、そのリコンビナントタンパクを亜鉛の処理有る無しの条件下に会合する分子をLCMSにて同定してそれらの会合分子の機能を亜鉛結合と合わせて解析している。さらに、Zip13の結晶化も行っている。(v) STAT3の亜鉛による活性化抑制の生理的役割を解析して論文発表した(Int. Immunol. 2010)。
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Research Products
(20 results)