2008 Fiscal Year Annual Research Report
精神・免疫・内分泌系の統合的制御〜ストレス特異的サイトカインカスケードの解明
Project/Area Number |
20249042
|
Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
関山 敦生 Hyogo College of Medicine, 医学部, 非常勤講師 (30403702)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内村 健治 国立長寿医療センター(研究所), アルツハイマー病研究部・発症機序解析研究室, 室長 (20450835)
千田 大 兵庫医科大学, 国立国際医療センター(研究所)臨床病理部・組織形態室, 室長 (90312842)
岡村 春樹 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60111043)
|
Keywords | 心身相関 / ストレス / 免疫学 / サイトカイン / 視床下部下垂体副腎軸 / 再生医学 / うつ病 / 脳、神経 |
Research Abstract |
平成20年度の研究成果 【総括】平成20年度は本研究の開始年であり、開始以前に試験的に得られていた知見に対し、より深い理解を得た年度となった。以下(1)は心理状態とサイトカインが照応関係を示すことが、(2)によって、新たなストレス特異的サイトカイン制御機構が、(3)によって、サイトカインを介する、ストレス下でのみ発動する生体応答がそれぞれ新たに見いだされた。機能分子を分泌するリンパ球のホーミング機構の解析によってこれら(1)-(3)が統合的に理解される可能性が期待される。 (1)心理状態とサイトカイン類との相関パターンを示した。 数百人のヒトボランティアから、精神、肉体両面の健康度を指標に120名の研究参加者群を形成。参加者に対し、休日の朝、および夜勤後の朝に精神、肉体両面のアセスメントを行い、GHQ28スコアに対して血中サイトカイン濃度プロファイルとの照応関係があることを明らかにした。SDS、MASおよび自覚症しらべとの照応関係を示唆するデータも得ているが、これについては現在さらに検討中である。(成果の一部は米生物学的精神医学会発表予定。) (2)NADPHオキシダーゼタイプ2(NOX2)のストレス下の役割を示した。 当該遺伝子欠損マウス、10,14,18週齢各5-60匹にストレスを負荷し、血中サイトカイン、ケモカイン、分泌型因子、非分泌型因子を測定、野生型マウスと比較した。驚くべきことに、好中球活性酸素発生酵素であるNOX2が、ストレス時に非分泌型因子の血中レベル上昇に関与する事を見いだした(未発表)。 (3)ストレス誘導サイトカインの脳内グルココルチコイドレセプターに対する作用を解明。 ストレスで誘導されるサイトカインが、脳内グルココルチコイドレセプターの発現、タンパクレベル減少を惹起することを発見した。同レセプターの減少はうつ病の発症機構と考えられていることから、本発見は、うつ病発症予防のための基盤的知見となる可能性がある。
|
Research Products
(23 results)