2010 Fiscal Year Annual Research Report
古代パルミラの葬制の変化と社会的背景にかかわる総合的研究
Project/Area Number |
20251008
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
西藤 清秀 奈良県立橿原考古学研究所, 副所長 (80250372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 泰介 奈良県立橿原考古学研究所, 企画課, 主任研究員 (60270774)
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Keywords | パルミラ / 家屋墓 / 3次元計測 / 乳児墓 |
Research Abstract |
調査を実施している家屋墓はパルミラ博物館の西約100m、パルミラ都市遺跡の北側に接するNo.129-bと呼ばれる有力氏族の墓である。2010年度の調査では家屋墓基壇内に落ち込んだ約60石の石材を過去4年の調査同様、3次元計測システムによりスキャニングした後、移動した。家屋墓の墓室中央には4本の柱で囲まれた一辺3.4mの中庭が存在し、4本の柱は鍵形を呈し、墓本体の北壁と南壁に対面する柱の面には6段の棺棚がある。4か所の棺棚は各2列、各々東西で対面する。中庭の構造は明確ではない。最も重要な発見は、西側の門のマグサ石である。この石材の発見により正門の規模、構造が明らかになった。この家屋墓の正門の扉は2枚の観音開き仕様であった。 床下には基壇内南壁の門から敷石が施された通路があり、基壇南門から基壇下床面には2段の階段で導かれる。南基壇の門のマグサ石には2行のギリシャ語碑文が刻まれ、ローマ人名のGaius Julius Bassusが刻まれ、この墓にローマ人に関わっていることが理解できる。 墓内部から装飾部材や葬送用彫像片が検出され、それらの中には"HBL NBW YHB"という碑文が刻まれた男性胸像片が出土した。このNBW(ナボー)という名はパルミラでは神殿名に認められる神の名であり、人名として検出された初例である。 過去3年間、129-b号家屋墓の入口階段全容の調査の過程で検出した城壁の作業用斜路において23基の乳児墓を検出あし、うち19基を掘り上げている。今年度は3基を掘削し、1基は土器棺墓、2基はシャフト墓であった。
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Research Products
(8 results)