2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模災害被災地における環境変化と脆弱性克服に関する研究
Project/Area Number |
20251011
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
林 勲男 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 准教授 (80270495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 良男 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (60148294)
高桑 史子 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (90289984)
田中 聡 富士常葉大学, 環境学研究科, 教授 (90273523)
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Keywords | 文化人類学 / 自然災害 / 脆弱性 / 環境対応 / 民族誌 |
Research Abstract |
2011年度は以下の研究活動を展開した。 林はパプアニューギニアのポートモレスビーで、1998年のアイタベ津波災害発生以降の災害センターの体制と、教育メディアセンターの活動について調査をおこなった。2004年のインド洋地震津波災害被災地に関しては、杉本が南インド、タミルナードゥ州の津波被災地において、巡礼聖地の大祭を開催するに当たり協会と村会が展開したメディア戦略に焦点を当てることで、災害復興に果たす宗教の役割について調査を実施した。高桑は、スリランカのマータラ県の津波被災者定住地にて、青年層を中心とした環境整備活動に関して調査した。山本は、インドネシアのバンダアチェ市郊外に建設された中国慈善協会の再定住地で、入居している世帯に対して質問紙調査を実施した。齋藤は、やはりバンダアチェ市とその近郊で、集団移転問題に関して、首長選挙前という時期に注目してデータ収集をおこなった。また、林はバンダアチェ市に開館した津波ミュージアムの展示と運営、市内の文化遺産の修復状況に関して調査を実施した。 田中は、比較研究の観点から、タイのバンコクの洪水災害について、被災した現地日系企業の復旧状況について調査し、各企業の対応状況について情報を収集した。タイ南部では、鈴木が少数民族モーケンの被災村落にて、支援がもたらした意識の変容に関しての調査をおこなった。 牧は、本年度は別の経費にて、東日本大震災の被災地を対象に、昭和三陸津波の復興計画の分析、昭和・明治三陸津波後の再定住地における被害状況についての調査を実施した。また、金谷と柄谷は、本年度は現地調査を実施せず、これまでの収集データの分析をおこなった。柄谷は比較の観点から、東日本大震災被災地の仮設住宅における地域リーダーの役割に関して、別経費で調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年3月の東日本大震災発生により、メンバーの中には本務の関係上、国内の被災地での研究調査に関わらざるを得ない状況にあったが、本研究の目的に沿って比較研究の観点を導入することで研究の進展を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
各メンバーが研究対象としている地域の社会的・文化的な脆弱性に関しては、復旧復興過程における課題も含めてかなり明らかとなってきた。各当該地域における、脆弱性の克服への取り組みの現状を正確に把握し、最終年度の研究ではそうした取り組みの評価を含めた成果のとりまとめをおこないたい。
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Research Products
(31 results)