2008 Fiscal Year Annual Research Report
地震後長期に継続する地形変化の科学的調査と復興戦略への反映
Project/Area Number |
20254003
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小長井 一男 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (50126471)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東畑 郁生 東京大学, 工学系研究科, 教授 (20155500)
|
Keywords | 土石流 / 地震災害 / 復興 / 地形変動 |
Research Abstract |
2005年10月8日パキスタン・インド国境近くのカシミール山岳地でM7.6の地震が発生した。実数は9万人を超えると推測され、この地震がパキスタン社会に与えた影響が極めて深刻であることは言うまでもない。しかし同時にこの地震は、その後長期に継続する地形変化の引き金となり、被災地の復興に様々な問題を投げかけている。 (1)Hattian Ballahに出現した巨大な崩落土塊の変形をモンスーンの前後で精密GPSによる計測を行った。緊急に大きな崩壊に繋がる危険性は極めて低いと判断されるが、谷を越えて対岸の山に乗り上げた崩壊土砂が谷側に向かって0.5mから1m近くも移動するなど土塊全体が地震から3年を経た現時点でも変形し続けていることが確認された。またその変形を検討するうえで重要なデータも得られつつある。仮に本崩壊地上流部で新たな崩壊が起こって、貯水池に津波が起こって堤体を越流したシナリオを想定した下流部の洪水解析も実施し、2m〜8m程度の這い上がり高さに達する可能性を示した。 (2)カシミール地方の中心都市MuzafEarabad東側に南北に走る断層背面に露出したドロマイト混じりの斜面から流出する土砂はこれまでに谷沿いの家屋の多くを1階〜2階レベルまで埋め尽くしている。河床レベルの変動をモンスーンの前後で精密GPSによる計測を行い、また河道曲線部での土砂の痕跡などから土石流の速度の推定を行った。これらは研究代表者らが開発した土石流モデルのパラメータ設定に活用され、このモデルを用いて砂防ダムをしかるべき箇所に建設した場合の効果を検討した。 上記の成果は次ページの発表論文にも紹介されるとともにState Earthquake Reconstruction&Rehabilitation Agency(SERRA)やMuzaffarabad市、そしてJICAにも報告されている
|
Research Products
(4 results)