2009 Fiscal Year Annual Research Report
地震後長期に継続する地形変化の科学的調査と復興戦略への反映
Project/Area Number |
20254003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小長井 一男 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (50126471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東畑 郁生 東京大学, 工学系研究科, 教授 (20155500)
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Keywords | 土石流 / 地震災害 / 復興 / 地形変動 |
Research Abstract |
2005年10月8日パキスタン・インド国境近くのカシミール山岳地でM7.6の地震が発生した。実数は9万人を超えると推測され、この地震がパキスタン社会に与えた影響が極めて深刻であることは言うまでもない。しかし同時にこの地震は、その後長期に継続する地形変化の引き金となり、被災地の復興に様々な問題を投げかけている。本年度で実施した研究の実績は主に以下の2点に集約される。 (1)Hattian Ballahに出現した巨大な崩落土塊の変形をモンスーンの前後で精密GPSによる計測を行った。谷を越えて対岸の山に乗り上げた崩壊土砂の最も厚い部分がおよそ10cmほど沈下している一方で、崩壊土砂下流末端部分の斜面がわずかに隆起し、ここに侵食谷が形成された。この部分から流出する水は重水比率の解析から湖からの浸透水が多く含まれていることが示唆され、いずれ将来土砂ダムの決壊にいたる懸念も生じた。このため万が一の決壊時の流出解析を行い下流部を20m程度の洪水が押し寄せる最悪シナリオのシミュレーションを行った。この結果はstate Earthquake Reconstruction & Rehabilitation Agency (SERRA)やMuzaffarabad市、そしてJICAにも報告されている。決壊の時期はまだ先かと思われていたが、実際2010年2月9日に突如決壊が生じ、下流部に最高17m程度の洪水が押し寄せ30余りの家屋が流された。男子1名の犠牲者が報告されたが警戒していた住民の避難があったことが犠牲者を最小限に抑えたものと思われる。決壊に至った詳細は次年度の調査項目である。 (2)カシミール地方の中心都市Muzaffarabad東側に南北に走る断層背面に露出したドロマイト混じりの斜面から流出する土砂はこれまでに谷沿いの家屋の多くを1階~2階レベルまで埋め尽くしている。昨年度に引き続き河床レベルの変動をモンスーンの前後で精密GPSによる計測を行い、また河道曲線部での土砂の痕跡などから土石流の速度の推定を行った。これらは研究代表者らが開発した土石流モデルのパラメータ設定に活用され、このモデルを用いて砂防ダムの効果を検討した。
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