2009 Fiscal Year Annual Research Report
高流動性社会における「シティ・リージョン」の計画理論構築に関する研究
Project/Area Number |
20254005
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
後藤 春彦 Waseda University, 理工学術院, 教授 (70170462)
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Keywords | シティー・リージョン / スペーシャルプランニング / ソーシャルキャピタル / 定住圏 / 定住自立圏 |
Research Abstract |
EU各国のスペーシャル・プランニングおよびシティ・リージョンの計画理論の概念整理、動向の把握をもとに、比較分析を行うための研究の枠組みを設定した。そして、イギリス、フランス、ベルギー、オランダを詳細調査の対象地として選定し、関係機関へのヒアリング調査、および現地視察を行った。 いずれの国も、地方分権や産業構造の変化、移民の増加、都市間競争の拡大といった現代的課題を背景として、スペーシャル・プランニングは従来の土地利用計画とは異なる戦略的な計画概念であり、多分野を跨ぐ計画として位置づけられていることを理解した。一方で、空間計画に係わる歴史的経緯、政治体制、直面している課題などによってスペーシャル・プランニングやシティ・リージョンの概念の運用実態については差異があることが明らかとなった。各国の特徴は下記のように整理できる。 イギリス:4つの国への分権、および議会の独立にともない、アイデンティティの確立を始めとした社会的政策や都市間ネットワークの強化によるシティ・リージョンの概念を踏まえた新たな圏域計画が先進的に行われている。 フランス:5階層に分かれた中央集権的な政治システムが維持されており、新たな都市圏計画においても母都市が周辺市町村を牽引してゆくトップダウン型の計画となっている。 ベルギー:連邦政府への移行によって州政府を中心とした3層構造による新しい空間計画の枠組みがつくられ、補完性の原理にもとづく機能的なスペーシャル・プランニングが進められている。 オランダ:国土の1/4が海面下に位置し、気候変動に伴う海面上昇へ対応するため集水域を中心とした圏域計画が進められている。新たな圏域を基盤としたインフラ整備や住宅政策などに重点が置かれ、物理的な空間計画の色合いが強い。 さらに、今後EUに加盟の予定のあるトルコについても資料収集を行った。
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