2009 Fiscal Year Annual Research Report
モウコノウマを復帰した保護区での種間競争とギルド構造解明による生物多様性保全
Project/Area Number |
20255003
|
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
高槻 成紀 Azabu University, 獣医学部, 教授 (00124595)
|
Keywords | 草食ギルド / 肉食ギルド / 公園管理 / タヒ / アカシカ / オオカミ |
Research Abstract |
野生状態で絶滅したタヒ(モウコノウマ)がヨーロッパの動物園からモンゴルに「里が帰り」したことは快挙といってよいが、その復帰地となったフスタイ国立公園ではタヒが順調に回復すると同時にアカシカも増加し、公園の環境収容力とのバランスの問題が生じる可能性がある。本計画はこの国立公園における2つの動物(群)間の生態学的現象を公園の管理という応用的な側面を含めて解析することを目的とし、2年目の調査を実施した。1)タヒとアカシカの種間関係については2009年8月に現地調査をおこない、タヒの草原、アカシカの森林選択性が明瞭に示された。この草食ギルドについては糞を確保したので、分析すべく準備が整い、現地の主要種のレファレンスを作成した。2)一方、オオカミを含む肉食ギルドについてはオオカミ、アカギツネ、コサックギツネの糞が確保されたものの、鳥類はサンプル確保が危険であるため断念せざるをえなかった。またオオヤマネコなどネコ類は糞がごく少数した確保できず、参考情報程度になる。現地において主要動物の体毛を確保するとともに、日本の動物園に飼育されている動物から体毛を採取している。3)このほか公園の植生管理という観点からアカシカによる森林群落への影響とマーモットによる草本群落の多様性創出について現地で予備的な調査をおこなった。マーモットのマウンド形成は双子葉草本を増加させ、そのうちの虫媒花植物は明らかに訪花昆虫を誘因していることがわかった。
|
Research Products
(1 results)