2009 Fiscal Year Annual Research Report
αキメリン変異マウスを用いた中枢神経回路の形成と機能の研究
Project/Area Number |
20300118
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
岩里 琢治 National Institute of Genetics, 個体遺伝研究系, 教授 (00311332)
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Keywords | 神経科学 / マウス / 遺伝学 / 神経回路 / 発達 |
Research Abstract |
我々は,両足をそろえてウサギのような歩き方をする自然発生変異マウス(ミッフィー変異マウス)の発見を端緒とする一連の解析により,Rac(RhoファミリーGTPaseの1種)を不活化する蛋白質(Rac-GAP)であるαキメリンが,運動系神経回路の軸索誘導において鍵となる働きをすることを見つけた。本研究課題では,それを発展させ,αキメリンの,神経回路の発達と機能の幅広い局面における役割を解明することを目的とした。我々はαキメリンノックアウトマウスでは,ある種の小脳学習に異常があることを見つけた。αキメリンはα1とα2スプライシングアイソフォームを持つが,それぞれ特徴的な生化学的特徴および発現パターンを示す。α2特異的抗体を用いることにより,α2キメリンが小脳プルキンエ細胞に強く発現することを見出した。小脳学習におけるプルキンエ細胞でのαキメリンの働きを調べるために,プルキンエ細胞特異的αキメリンノックアウトマウス(α1とα2の両方が欠損したマウス)を作製し,小脳学習の解析を行った。また,αキメリンの作用部位を詳細に調べる目的で,in situハイブリダイゼーション実験を行い,成体および各発達段階におけるα1およびα2キメリンの発現パターンを調べた。さらに,歩行および小脳学習においてα1とα2のどちらのアイソフォームが重要な働きをするのかを知るために,サブユニット特異的ノックアウトマウスの作製を試みた。ES細胞での相同組換えの頻度は染色体領域によって大きく異なることが経験的に知られているが,この領域は組換えが起こりにくいことを示す結果を得た。
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