2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規ドーパリガンドの構造決定とドーパ応答の電気生理学的解析
Project/Area Number |
20300132
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
五嶋 良郎 Yokohama City University, 医学研究科, 教授 (00153750)
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Keywords | 神経伝達物質 / 受容体 / 自律神経系 / ドーパ / 電気生理学 |
Research Abstract |
[目的] ラット孤束核(NTS, nucleus tractus solitarii)微量注入時にドーパ様の活性を示すL-threo-dihydroxyphenylserine(ドプス)由来の活性誘導体の構造決定を試み、ドーパ受容体同定に有用なリガンド候補を獲得する。またドーパ活性の新しいアッセイ系の確立を試みる。 [方法] ドプス由来活性成分の分離は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)・紫外分光光度計を用いた。活性は、麻酔したラットを人工呼吸下に大動脈ヘカニューレを挿入し、頭部を固定・開頭して下部脳幹部を露出し、NTS領域に微量注入し測定した。脳スライスNTSにおけるドーパ応答を捉える新しいアッセイ系、Multiple electrode array system(MED64)を用いたシナプス活動多点計測を行った。 [結果] ドプス由来の活性成分として、HPLC画分S122を得た。NTSに微量注入したA113およびS122は血圧下降・徐脈応答を惹起し、この反応はドーパ拮抗薬、L-DOPA cyclohexyl ester(DOPA CHE)の前処置により遮断された。この活性画分の構造決定を試みたがベンゼン環を有する特定の化学構造を同定するに至らなかった。一方、MED64において、ドーパは増強および抑制の二相性作用を示した。 [結論] ドーパおよびドプス誘導体の中にドーパ様活性を示す活性成分を見出したが、同画分より単一の有効成分の構造決定を行うことができなかった。MEAsにおいて、NTS領域においてドーパの二相性性作用を捉えることに成功した。また新規ドーパ受容体候補分子としてoa-1遺伝子産物が報告され、今後当該分子がドーパ応答を担う分子であるか否かを検討する必要がある。
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