2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成におけるレドックスシグナリングとミトコンドリアダイナミクス
Project/Area Number |
20300133
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
柳 茂 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (60252003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 暢子 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (30333222)
福田 敏史 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (50372313)
與那城 亮 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (60453809)
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Keywords | 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / 神経回路形成 / CRAG / 遺伝子治療 / ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOL / MAP1B-LC1 / Mfn2 |
Research Abstract |
神経回路形成に関与するシグナル伝達タンパク質CRAGは、伸長ポリグルタミン変性タンパク質と会合して、共に核内に移行し、核内のプロテアソーム活性を介して変性タンパク質を分解することにより神経細胞の生存を誘導すると考えられてきた。今回、私たちはCRAGが転写因子であるc-fos(AP1)を活性化して細胞の生存をさらに高める可能性を示した。CRAGは、転写因子APIを活性化して、下流に位置するSulfiredoxinやSestrin2を誘導することにより抗酸化ストレスのシグナルを伝達している可能性が示された。さらに、CRAGが神経細胞の分化を誘導して、神経突起の進展と成熟に関与している可能性も示唆された。これらの結果より、CRAGは遺伝子治療分子として優れた特性を有していることが示された。さらにCRAGの生理的な役割を知るためにCRAG欠損マウスを樹立した。CRAG欠損マウスは生後3週齢で致死となることが判明し、様々な神経回路形成異常が観察され、神経発生においてきわめて重要なシグナル分子であることが示された。今後、CRAG欠損マウスの詳細な解析により、CRAGの生理的な役割および遺伝子治療分子としての整合性を示すことが期待できる。一方、ミトコンドリアユビキチンリガーゼMITOLに関しては以前報告したDrp1以外に、MAP1B-LC1およびMfn2を生理的基質としていることが明らかとなった。さらなる詳細な解析により、MAP1B-LC1経路を介した新たなミトコンドリア機能不全による細胞死の分子メカニズムとMITOLによる防御機構、およびMITOLとMfn2を介した新たなミトコンドリアダイナミクス調節機構が明らかになりつつある。今後、MITOLマウスの詳細な機能解析により、ミトコンドリアの新たな役割が明らかになることが期待できる。
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