2008 Fiscal Year Annual Research Report
冠循環・心臓メカニクス連関:分子進化から心機能、心不全発症機構までの医工学的解析
Project/Area Number |
20300160
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
毛利 聡 Kawasaki Medical School, 医学部, 教授 (00294413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成瀬 恵治 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40252233)
片野坂 友紀 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (60432639)
入部 玄太郎 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90284885)
中村 一文 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10335630)
宮坂 武寛 姫路獨協大学, 医療保健学部, 教授 (60308195)
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Keywords | 冠循環 / 心機能 / 拡張性 / 収縮性 / 可変弾性モデル |
Research Abstract |
脊椎動物の心臓は、冠循環を持ち緻密な心室壁を有するものと、洞様構造で心室内腔から血液を供給されスポンジ状の心室壁を有するものに大別される。心臓の血液ポンプとしての機能は、収縮性と拡張性で評価されるが、冠循環型心臓と非冠循環心臓の機械特性を可変弾性の概念を用いて比較するために、冠循環心臓としてラット心を非冠循環心臓としてカエル心を用いて摘出心臓のランゲンドルフ灌流標本にて心室圧・容積関係を記録した。得られた拡張末期圧・容積関係を心筋重量で正規化し、定量評価のためにEDP=α・EDV^6+β(EDP:拡張末期圧EDV:拡張末期容積)にてカーブフィッティングを行った。心室の拡張性を示すαの値はラット心、カエル心でそれぞれ349±39と0.677±0.120(n=3,p<0.01)であり、カエル心の著しく高い拡張性が認められた。この傾向は乳頭筋レベルでも観察された。また、心筋と血管、或は洞様の構造比較をするために蛍光色素を混入したゼラチンによってラット心とカエル心の血液循環腔を観察したところ、ラットの冠循環型心臓は大動脈圧により血液を駆動するため10μm以下の毛細管構造を有しているのに対し、カエル心は低圧の心室拡張期に血液を心室内腔から得るために100μm以上の溝構造を有していた。これらの結果より、心臓における冠循環の存在は、心筋に対する血液供給を増大させ高心拍数や高収縮性を発揮する一方、拡張性を低下させる事で冠循環を障害する心室の過伸展を抑制していると考えられた。冠循環心臓と非冠循環心臓はマクロレベルでの心臓機能・構造に異なる特性を示し、細胞レベルでも冠循環心臓の心筋は非冠循環心臓に比較して伸展しやすい性質を有している事が示唆された。
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Research Products
(4 results)