2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックス模倣型合成スキャホールドを用いた神経組織の再生
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20300172
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
山岡 哲二 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生体医工学部, 部長 (50243126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬原 淳 独立行政法人国立循環器病研究センター, 生体医工学部, 研究員 (80416221)
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Keywords | スキャホールド / 細胞外マトリックス / ポリ乳酸 / 組織再生 / 再生医工学 |
Research Abstract |
生体の細胞外マトリックス(ECM)が有する組織修復能力を、ポリ乳酸性スキャホールドに付与するための新たな修飾方法を開発し、この技術を利用した生体吸収性神経誘導管を実現することを目的とする。従来法である化学修飾法や表面グラフト法などの有効性が広く報告されいるなかで、近年注目されている生体吸収性ナノ繊維からなるスキャホールドの表面修飾は、その寸法安定性の観点から極めて困難である。ポリ乳酸スキャホールドの強度低下を伴わずに修飾が可能な新方法として、オリゴ乳酸-機能性ペプチド配列結合両親媒性コンジュゲート修飾分子を開発した[特願2007-238434]。 本コンジュゲートを1%程度ポリ乳酸ドープに添加した後に電界紡糸法によりナノ繊維状神経誘導管を作成した。急速に成形加工できるエレクトロスピニング法では相分離よりも先に脱溶媒が起こるためにナノ繊維のバルク中に均一にオリゴ乳酸-機能性ペプチド配列結合両親媒性コンジュゲートが分布していることが共焦点レーザー顕微鏡により確認された。さらに、水系での浸漬試験に於いてもコンジュゲートの溶出は認められず、オリゴ乳酸が優れた分子分散性と疎水性相互作用に基づく安定性を達成したことが確認された。機能性ペプチド配列の一つとして、ラミニンに多く含まれる、神経細胞の成熟化やアクソン成長などを亢進するIKVAV配列を選択し、IKVAVコンジュゲート入神経誘導管を作成して、ラット(Wister rat、メス、8週齢、180-210g)左肢坐骨神経を10mm長切除後に治療実験を行い優れた神経組織再生性が確認された(Polymers, in press)。
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