2008 Fiscal Year Annual Research Report
高位中枢活動は運動筋受容器反射を修飾するか?-覚醒・睡眠サイクルの応用
Project/Area Number |
20300202
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松川 寛二 Hiroshima University, 大学院・保健学研究科, 教授 (90165788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
定本 朋子 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (30201528)
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Keywords | 筋受容器反射 / 心循環調節 / 筋機械受容器 / 筋代謝受容器 / 覚醒睡眠サイクル / セントラルコマンド |
Research Abstract |
[1]随意運動時にみられる心循環応答に及ぼす運動筋受容器反射の役割を解明するために、1)能動的static筋収縮、2)筋電気刺激による誘発static収縮および3)受動的な肢回転運動に対する心循環応答を比較した。仰臥位において被験者の両足を特注型自転車エルゴメーターのペダルに固定した。それぞれの実験操作(0.5-3分間)に対する心電図、動脈血圧、心拍数、毎分心拍出量、末梢血管抵抗ならびに筋電図の応答を同時記録した。誘発収縮は筋機械受容器および代謝受容器を刺激するが、受動的肢運動は専ら筋機械受容器のみを刺激する。能動的筋収縮では、運動筋受容器反射に付加して、高位中枢から発するセントラルコマンドが心循環応答を制御する。特に、誘発筋収縮を実施する場合には臨床用低周波刺激装置を用いて、皮膚受容器にあまり痛みを与えずに骨格筋へ有効刺激を与えるように配慮した。その結果、受動的肢運動は有意な心循環応答を引き起さず、また誘発筋収縮に対する反射性応答は能動的筋収縮に対する応答の約50%以下であった。この所見は、随意運動時にみられる心循環応答がセントラルコマンドと筋代謝受容器反射による制御を主に受けるが、筋機械受容器反射は心循環応答の調節に関与しないことを示唆した。 [2]次に、筋機械受容器反射が覚醒-睡眠サイクルにより修飾されるか否かを解明するために、予備的実験を実施した。前述のような仰臥位における受動的な肢回転運動に対する心循環応答を覚醒状態と睡眠状態(昼寝)で比較した。その結果、受動的肢運動は覚醒状態では心循環応答を誘発しなかったが、睡眠状態では心拍数や動脈血圧を有意に増加させた。以上の実験成績は、筋機械受容器反射が覚醒-睡眠サイクルによる影響を受ける、すなわち高位中枢活動による修飾を受けることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)