Research Abstract |
【研究の目的】 本研究は,3カ年にわたり児童生徒を対象としてライフスタイルの改善及び体力向上を図るためのプログラムを学校教育活動全体に適用し,その効果の検証をおもな目的とした. 【研究の成果,意義等】 研究目的を達成するために,昨年度から継続して以下の内容で構成されたデータ収集を小中学生,約1200名を対象に実施した.1.体格及び新体力テスト,2.運動習慣とライフスタイル調査(16項目)3.中高生の生活・健康関連実態調査(改訂版85項目)4.歩数測定(定点および1週間継続).さらにデータ収集を並行して,我々が開発した体力向上プログラムやライフスタイル改善のためのHQC手法を授業に適用し,協力校での実践を試みた.また本年度の研究では,その対象を幼児まで拡大し,保護者の協力,同意の下,HQC手法を用いて幼児の生活習慣改善と体力向上図る運動指導を行った. さらに本年度は,蓄積された5年間の縦断データをもとに,授業時数の増加が中学校生徒の体力向上に及ぼす影響を比較実験授業によって検証した.尚,授業時数は,実験群が週4時間,統制群が週3時間であった.また,3年間の研究を通して収集したデータから,体力と生活・健康関連調査との関連を分析した.これら一連の研究を通して得られたおもな成果は以下の通りであった. 1.HQC手法の導入によって,幼児の就寝時刻,テレビ視聴時間などに顕著な改善が認められた. 2.通常の保健体育授業(3時間配当)に1時間の活動を加味することによって,男子は体力の向上が有意になることが明らかとなった.女子では,有意な体力向上は認められないものの,体力低下を抑制する効果が認められた. 3.中学生を中心に体力総合評価と生活・健康調査の関連をみた結果,学習意欲が高く,朝食摂取習慣等のよい者ほど,体力が有意に高いことが示された. 以上の成果の一部は関連学会等で発表するとともに,学会誌へ投稿し原著論文として採択された.また,本研究で作成された様々なプログラムは,学校教育への適用可能性を有していると思われる.
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