2009 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉のタンパク質とエネルギー代謝の調節機構に対するアミノ酸投与と運動の効果
Project/Area Number |
20300216
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
下村 吉治 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (30162738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北浦 靖之 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (90442954)
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Keywords | 分岐鎖アミノ酸(BCAA) / 高脂肪食 / インスリン抵抗性 / 耐糖能 / ロイシン / 後肢懸垂 / 筋タンパク質 / ラット |
Research Abstract |
分岐鎖アミノ酸(BCAA)は、体組織を構成する重要な栄養素としてばかりでなく、生体内代謝に強い影響をもつ栄養因子であることが明らかにされつつある。本研究では、ラット後肢懸垂によるヒラメ筋萎縮に対するBCAA(5%)食摂取の影響を検討したところ、筋重量にはその効果が認められなかったが、ヒラメ筋のタンパク質含量の低下ではBCAA食摂取により抑制される傾向が認められた。 BCAA代謝における律速酵素である分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(BCKDH)複合体は、特異的なキナーゼであるBCKDHキナーゼによるリン酸化を受けることで失活する。BCKDH複合体及びBCKDHキナーゼの酵素活性は、食餌や疾病等の影響を受けて変化し、BCAA代謝を調節すると考えられている。これまでの研究において、2型糖尿病によるインスリン抵抗性は、BCAA代謝を抑制することが明らかにされている。本研究では、長期間にわたって高脂肪食を摂取させ、インスリン抵抗性を引き起こしたラットにおける耐糖能に対するロイシン投与の影響について検討した。実験動物としてSprague-Dawley系の雄ラットを用い、8週齢時に食餌を標準食と高脂肪食に分けた。インスリン抵抗性の有無を確認するために、17週齢時に腹腔内糖負荷試験を行い、血糖値の経時的変化を調べた。腹腔内に体重1kgあたり2gのグルコースを負荷し、負荷直前と負荷後30、60、90、120分後に尾静脈より血液を採取し、血糖値の経時的変化を調べた。その結果では、高脂肪食摂取により、耐糖能が低下していた。一方、同様の耐糖能試験の約1時間前にロイシン(0.45g/kg体重)を経口投与して耐糖能試験を行ったところ、高脂肪食により低下した耐糖能が改善した。すなわち、ロイシンは高脂肪食により誘発されるインスリン抵抗性を改善することが示唆された。
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Research Products
(7 results)