2010 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉のタンパク質とエネルギー代謝の調節機構に対するアミノ酸投与と運動の効果
Project/Area Number |
20300216
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
下村 吉治 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30162738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北浦 靖之 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90442954)
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Keywords | 分岐鎖アミノ酸(BCAA) / 廃用性筋萎縮 / ラット / ヒラメ筋 / タンパク質合成促進因子 / 分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(BCKDH) / BCKDHキナーゼ / ミトコンドリア |
Research Abstract |
分岐鎖アミノ酸(branched-chain amino acid:BCAA)は、ロイシン、イソロイシン、バリンの3つのアミノ酸であり、いずれも必須アミノ酸である。その中でも特に生理作用が強いのがロイシンであり、筋タンパク質の合成促進と分解抑制作用、および耐糖能改善作用などの生理作用を持つことが明らかにされつつある。本年度では、廃用性筋萎縮に対する5%BCAA添加食摂取の効果を5~6週齢のSprague-Dawley系雄性ラットを用いて検討した。その結果、ヒラメ筋重量に対してBCAA食摂取の効果は認められなかったが、ヒラメ筋の萎縮に伴う総タンパク質量および総RNA量の低下はBCAA食摂取により抑制される傾向が認められた。それと対応して、筋萎縮に伴うタンパク質合成抑制因子(eIF4E-BP)の増加及び細胞増殖/タンパク質合成促進因子(cyclin D1, mTOR, ERK1)の減少はBCAA食摂取により抑制された。すなわち、BCAA食摂取は、廃用性筋萎縮自体に影響しなかったが、それに対抗する細胞内シグナル成分の減少を抑制することが認められた。 さらに、BCAA代謝の調節酵素である分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(branched-chain α-keto acid dehydrogenase:BCKDH)複合体を不活性化するBCKDHキナーゼ(BDK)の酵素学的解析において、BDKがミトコンドリア中に含まれるタンパク質性因子によってMn^<2+>とCa^<2+>存在下で阻害される結果を得た。すなわち、ラット肝臓のミトコンドリア抽出液には、BDK活性を阻害するこれまで報告されていないBDK不活性化因子が存在する可能性が示唆された。
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Research Products
(11 results)