2009 Fiscal Year Annual Research Report
徳川将軍親族遺体のデジタル保存と考古学的・人類学的分析-大奥の実態に迫る-
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20300290
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 悠男 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 人類史研究グループ, 名誉研究員 (90049221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 章 国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター長 (20157225)
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Keywords | 江戸時代人 / 大奥 / 三次元スキャナー |
Research Abstract |
平成21年度には、「大奥」人骨のクリーニング・修復作業が完了し、人骨形態の基本的な記載が終了した。基本的な記載は様々な変異や病変なども含まれ、大奥人骨の特異的な形態的特徴が明らかとなった。例えば、典型的な貴族形質が見られたことや、胸郭上部に特異的な変形が多くの個体で見られることなどである。また、より良い情報保存のために写真撮影方法の開発が行なわれた。現行の方法では、撮影条件による画像の変質、例えば歪みなど、を考慮していない報告が多いが、それらを明らかにし、さらに問題を最小限に留める撮影方法を開発した。さらに、本人骨および比較データベース作成のための計測項目を検討・設定した。その結果、より容易かつ明確な定義を持つ計測項目を600近くが設定可能となった。これらの計測項目を利用し、池之端七軒町遺跡出土人骨および正見寺遺跡出土人骨に関して計測をおこない始めた。これらの写真および計測は、資料が残っていない将来において、研究者が信頼して利用できることを想定しており、いわばこの研究計画の根本であると言える。 また、将来にわたり利用可能なデータとして、修復が完了して保存状態が良好な9個体の頭蓋骨のCT撮影を実施し、そのデータを用いた観察・計測ソフトウェアの開発を継続して行なっている。これは我々が提示する600以上の項目以外の情報を将来の研究者が新たに得ることを可能にするための手順である。また、全身骨のCT撮影の設定も完了しており、次年度に順次撮影を行なっていく予定である。さらに、5個体のミトコンドリアDNAおよび核DNAの分析も行なった。
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