2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉川 久幸 (井上 久幸) Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (60344496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緑川 貴 気象庁気象研究所, 地球化学研究部, 研究室長 (10414517)
橋田 元 国立極地研究所, 気水圏研究グループ, 助教 (00280537)
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Keywords | 南極海 / 二酸化炭素分圧 / 溶存無機炭素 / 南極底層水 / 人為起源二酸化炭素 / 白鳳丸 / 生物生産 / 季節海氷域 |
Research Abstract |
本研究は、南極海の二酸化炭素(CO_2)吸収とその変動要因(特に生物活動の影響)を解明することを目的とする。これは南極海の二酸化炭素吸収量評価が不確実であり、全球炭素循環理解の障壁となっていること、二酸化炭素吸収による長期的な酸性化の実態を把握する必要があることから設定したものである。 本研究では、平成20年度は、南極海で観測予定の海鷹丸(東京海洋大学)、白鳳丸(東大海洋研究所・海洋研究開発機構)に大気海洋二酸化炭素測定装置を搭載し、各機関が協力して海洋観測を実施する予定であった。しかし、重油燃料代高沸など諸般の事情により白鳳丸の航海が平成21年度に延期されることになり、海鷹丸の観測航海のみの実施となった。海鷹丸の観測は、2009年1月に昭和基地沖の沖から70度付近までの南極海で観測を行った。船上で取得した観測データは国立極地研究所で整理し、持ち帰った海水試料については、溶存無機炭素とその炭素安定同位体比については北海道大学で、pHと全アルカリ度(溶存無機炭素)については気象研究所で分析した。 海洋炭酸系の観測のうち、二酸化炭素分圧については、特に季節氷近辺の海域で分圧が低くなっていることが確認され生物活動による分圧の減少が確認された。また、昭和基地沖で過去に得られたデータと比較したところ、分布に関してかなり大きく変動していることが示された。また、ケープダンレー沖の溶存無機炭酸の鉛直分布はあまり大きく変動していないことが分かり、底層水生成を支持する結果を得た。今後、酸素や栄養塩などのデータと組み合わせて二酸化炭素鉛直輸送に関する解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)