2009 Fiscal Year Annual Research Report
南極海におけるペンギン類の長期生態変動メカニズムの解明
Project/Area Number |
20310016
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
高橋 晃周 National Institute of Polar Research, 研究教育系, 准教授 (40413918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 高大 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (90455189)
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Keywords | 海洋生態 / 環境変動 / 動物行動 / 極域科学 / データロガー / バイオロギング |
Research Abstract |
本研究は、南極海海洋生態系の主要構成種であるペンギン類について、海洋環境の変動により長期的な個体数・生態の変動が生じるメカニズムを明らかにすることを目的としている。具体的には、ペンギン類の採餌・繁殖にとって重要な海洋環境特性を、近年の個体数傾向が異なっている西南極地域と東南極地域の両方で調査し比較することで、地域的な海洋環境の変化とペンギンの個体数・生態変動との関係を明らかにする内容となっている。今年度は、まず、昨年度までに得られた西南極地域でのペンギンの採餌生態データを解析し、成果発表を行った。GPS-深度データロガーによって記録されたキングジョージ島のヒゲペンギン・ジェンツーペンギンの採餌位置、潜水行動を種間で比較したところ、ジェンツーペンギンは沿岸海域の底層を、ヒゲペンギンは外洋海域の表層を利用するという生態の違いが明らかになった。西南極地域において、ヒゲペンギンの個体数は減少傾向にあるのに対し、同じ場所で繁殖するジェンツーペンギンの個体数は増加・安定傾向にあり、こうした個体数傾向の違いが採餌生態の違いと関連することが示唆された。また、カメラロガーによって記録された西南極地域シグニー島のアデリーペンギン・ヒゲペンギンの採餌環境を分析したところ、ペンギンが餌と遭遇する深度が、海氷の分布状態によって変化することが明らかになった。海氷の分布状態は餌の分布状態の変化を通じてペンギンの採餌行動に強く影響することが示唆された。また、今年度は、ペンギン類の採餌生態に関する野外調査を、キングジョージ島韓国セジョン基地で行い、GPS、画像、加速度データロガーによって移動軌跡や採餌深度に関する新規データを取得した。昨年度までに得られている同様のデータと今後比較を行っていくことで、海洋環境の年々変化がどのようにペンギンの生態の変動をもたらすか明らかにできると期待される。
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Research Products
(8 results)