2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20310019
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡村 秀雄 神戸大学, 大学院・海事科学研究科, 教授 (90253020)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 浩嗣 神戸大学, 大学院・海事科学研究科, 教授 (60199338)
段 智久 神戸大学, 大学院・海事科学研究科, 准教授 (80314516)
|
Keywords | 多環芳香族炭化水素 / ニトロ化多環芳香族炭化水素 / 生態毒性 / 海産発光細菌 / 変異原性 / 塗料廃棄物 |
Research Abstract |
船底防汚剤および船舶ディーゼル排ガス中の有害成分(多環芳香族炭化水素、ニトロ化多環芳香族炭化水素)に着目し、海事活動の盛んな港湾における底質の汚染を定量的に示し、未知の有害成分を探索することを目的として以下の課題に取り組んだ。 1.塗料廃棄物および港湾底質の生態毒性評価 船舶修繕ドックで採取した3種類の塗料廃棄物、および2005年から2010年にかけて大阪湾の同一の港湾域や船舶修繕ドック周辺で経年的に採取した底質100試料について、発光細菌阻害および変異原性(ウムラックAT)を評価した。塗料廃棄物および底質の有機溶媒抽出物は発光細菌に対して阻害を示したが、変異原性は示さなかった。また、底質は有機溶媒抽出しないで直接供試しても、海産発光細菌への阻害を示した。このように有機溶媒抽出物には細菌の発光を阻害する有機性成分が抽出されたと考えられた。また、供試した11種類の防汚剤の内の3種類(トリフェニルボラン、銅ピリチオン、シーナイン211)には強い発光阻害が認められたが、供試した38種類のPAHの発光阻害は弱かった。一方、いずれの防汚剤にも変異原性は認められなかったが、14種類のPAHには直接および間接変異原性が認められた。 2.塗料廃棄物および港湾底質中の化学物質の残留分析 塗料廃棄物の有機溶媒抽出物には防汚剤(トリフェニルボラン、銅ピリチオン、ジウロン、シーナイン211)と分解産物(ベンゼン、フェノールなど)の残留が認められた。抽出物中で細菌発光阻害への寄与率が高かった化学物質は、シーナイン211および銅ピリチオンであった。底質中の防汚剤およびPAHの残留分析を行ったところ、いずれも検出限界以下であった。残留分析の結果と1の生態毒性評価の結果から、底質に観察された毒性には分析対象とした防汚剤やPAH以外の成分が寄与していると考えられた。
|