2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA修復系遺伝子欠損マウスを用いた変異原性・発がん性の高感度評価系の開発
Project/Area Number |
20310031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
續 輝久 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 教授 (40155429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中津 可道 九州大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (00207820)
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Keywords | 遺伝子 / 核酸 / 環境 / ゲノム / 放射線 / 突然変異 / 酸化ストレス / 活性酸素 |
Research Abstract |
放射線や化学物質に対応できる変異原性・発がん性の高感度評価系を開発する目的で、これまでに以下の研究を行った。 (1)放射線や化学物質の突然変異原性を高感度で検出するために、rpsL-Tgマウス(C57BL6/Jの遺伝的背景を有する)との交配を行い、次に掲げる2重遺伝子改変マウス(Mutyh^<-1->/Msh2^<+/->マウス、Ogg1^<-/->/Msh2^<+/->マウス、Mth1^<-/->/Msh2^<+/->マウス、Xpa^<-/->/Msh2^<+/->マウス)にrpsL-Tgを導入したマウス系統の樹立を進めている。 (2)Msh2^<-/->・rpsL-Tgマウスについて、臭素酸カリウムの飲水投与による酸化ストレス誘発突然変異の解析を行った。8-オキソグアニンに起因すると考えられる塩基置換はまれにしか観察されず、変異のほとんどが1塩基欠失であった。 (3)酸化ヌクレオチドの変異原性を評価するために、動物細胞に直接酸化ヌクレオチドを導入して突然変異解析を行う実験系を開発した。rpsL Tgマウスから樹立した細胞株にエレクトロポレーション法で8-oxo-dGTPを導入し突然変異の解析を行ったところ、8-oxo-dGTPを導入した細胞では突然変異頻度が約2倍に上昇し、特にA:T→C:Gトランスバージョン変異が約10倍上昇していた。この結果から生体内に生成した8-oxo-dGTPがA:T→C:Gトランスバージョン変異を引き起こすことが確認できた。 (4)DNA2重鎖に存在する誤塩基対の認識により発信されたシグナルを、細胞死発動へ伝える経路で機能している新規蛋白質Y3の遺伝子欠損マウス作出を目的として、標的遺伝子組換え法によりES細胞株(ヘテロ接合体)の樹立を進めている。
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