2010 Fiscal Year Annual Research Report
キラルポリラジカルのナノ構造制御による磁気秩序の構築と磁気光学機能
Project/Area Number |
20310052
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金子 隆司 新潟大学, 超域研究機構, 教授 (90272856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 俊樹 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80212372)
寺口 昌宏 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30334650)
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Keywords | π共役高分子 / 光学活性らせん構造 / ポリラジカル / アントラセン / ポリ(アリーレンエチニレン) / ポリ(フェニルアセチレン) / 磁気光学効果 / 分子磁性 |
Research Abstract |
本研究では、ポリラジカルの磁気的性質とらせん構造高分子の光学活性との融合による新しい磁気機能および磁気光学機能を創出することを目的としている。この目的を達成するため、具体的には、らせんピッチやシークエンスなど、らせん構造の精密制御とそれに伴う磁気秩序構造の制御を目指した。本年度は、次の項目について明らかにした。 1.水素結合可能な置換基を有するアセチレンモノマーの合成とらせん選択重合 水素結合可能な置換基を有するモノマーとして4-(4-ドデシルオキシビフェニル)-3,5-ビス(ヒドロキシメチル)フェニルアセチレンを新規に合成し、光学活性なフェニルエチルアミン存在下、ロジウム錯体触媒によりらせん選択重合が進行し、分子内水素結合により安定化された片巻優先らせん構造を有するポリ(フェニルアセチレン)誘導体が得られた。また、らせん構造の有無により発光波長を制御できることを明らかにした。 2.水素結合可能な置換基を有するポリ(1,3-フェニレンエチニレン)型ポリラジカルの合成 3,5-ジヨードフェニルヒドロガルビノキシルと光学活性基を有するジエチニルベンゼン誘導体をPd(PPh_3)_4触媒により重合してポリ(1,3-フェニレンエチニレン)誘導体を合成した。2位に疎溶媒効果を高めるメチル基、4位に分子内水素結合可能なアミド結合を有する光学活性基を導入することで、片巻優先らせんフォルダマー形成を促進することができた。ポリラジカルでもメチル基やアミド結合のないものに比べて約6倍の強度でCDシグナルが観測された。 3.ポリラジカルの高次組織化と磁気的性質 オリゴ(9,10-アントリレンエチニレン)型ポリラジカルに剛直かつ光学活性なビナフチル構造を導入することでアントラセンユニットの空間配置を制御し、π-π相互作用を抑制したポリマーを合成した。その蛍光強度は対応するモノマーモデルに比べて32%の減少で押さえられ、固体状態でも蛍光が見られた。カーボンナノチューブとの複合化により反強磁性ながらも磁気的相互作用が増大することが明らかとなった。
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Research Products
(10 results)