2009 Fiscal Year Annual Research Report
IPCC温暖化予測数値情報による極端気象現象と災害発現特性の研究
Project/Area Number |
20310111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 裕彦 Kyoto University, 防災研究所, 教授 (60263159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹見 哲也 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10314361)
中北 英一 京都大学, 防災研究所, 教授 (70183506)
丸山 敬 京都大学, 防災研究所, 准教授 (00190570)
安田 誠宏 京都大学, 防災研究所, 助教 (60378916)
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Keywords | 地球温暖化 / 極端現象 / 気象災害 / 海象災害 / IPCC |
Research Abstract |
(1)渦位逆変換法による台風経路コントロール手法の開発:台風により生じる強風害、高潮害、波浪害などは、台風の経路に強く依存する。そこで、現在気候実験や温暖化予測実験で現れる台風に関して、その経路を合理的にコントロールして最大可能発生災害を評価する必要がある。このための基礎技術として、モデルで表現された台風事例をもとに、渦位逆変換主応を応用して台風の位置を調整して、さまざまな上陸コースを表現する手法を作成した。この手法では、気象変量をポテンシャル渦度に集約し、ポテンシャル渦度レベルで台風の位置を動かした後、この渦位分布に整合する気象場を逆計算するものであり、物理的に矛盾無く台風位置に摂動を与えることができる。 (2)ダウンスケール実験の実施:客観解析データを用いたダウンスケール実験を実施した。ダウンスケールに用いるメソモデルにより結果がどのように異なるかの検討を行った。この成果は、Oku et al. (Hydrological Research Letter)に掲載された。 (3)災害評価モジュールの運用:極端気象の影響を社会への影響も考慮して算出する方法を作成した。この成果は、奥ら(京都大学防災研究所年報)で報告した。また、Maruyama et al. (Hydrological Research Letter),丸山ら(極端気象現象とその気候変動による影響評価に関するシンポジウム)により強風が建築物にもたらす被害の評価に関する研究を進めた。 (4)疑似温暖化実験の検討:前年度の研究で、多くのIPCC出力でアーカイブデータから直接ダウンスケールを行える事例はごく僅かしかないことが解ったため、これを補う方法として最近いくつかの研究で用いられ始めた疑似温暖化手法を新たに検討した。この手法は、IPCC4の結果から、現在気候と将来気候の差を抽出したうえで、現在気候の再現実験にこの差をバイアスとして上乗せした条件で長期積分を行い、そのデータを解析する方法である。既存研究を参考に、この実施方法を確立した。
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Research Products
(6 results)