2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性などの生物活性を有する海洋天然物の新型作用機序の解明
Project/Area Number |
20310129
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木越 英夫 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90169839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北 将樹 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (30335012)
早川 一郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (20375413)
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Keywords | アプリロニンA / ハテルマライドNA / オーリライド / 抗腫瘍性 / 細胞毒性 / プローブ分子 / 海洋天然物 / ハテルマライドB |
Research Abstract |
海洋産抗腫瘍性物質アプリロニンAについては、そのプローブ分子の調製を行った。これまで、修飾できる部位がほとんどないために、その誘導化が進まなかったが、今回、末端エナミド基を誘導することにより、プローブ分子合成に用いることのできるリンカーを持った誘導体が調製できた。この分子は、十分な生物活性を持っていることが確認できたので、これを用いた生体標的分子の探索を行う予定である。 海洋産細胞毒性物質ハテルマライド類については、ハテルマライドNAの実用的合成法を開拓するとともに、類縁体であるハテルマライドBの初の全合成を達成した。この結果、ハテルマライドBの不明であった生物活性を確認できた。さらに、この合成で得られた知見をもとに、いくつかの人工誘導体を合成し、ハテルマライド類の構造-細胞毒性相関を明らかにすることができた。その結果、側鎖部のみの人工類縁体もマクロラクトン部のみの人工類縁体も大きく細胞毒性が低下することが観察された。よって、ハテルマライド類の強い細胞毒性発現のためには、そのマクロラクトン部と側鎖部の両方の組み合わせが必要であることがわかった。また、側鎖部のカルボキシ基をエステルに変換しても、活性が低下しないことも分かった。今後、この知見をもとに、側鎖部のカルボキシ基にリンカーを導入したプローブ分子を設計、合成し、標的分子の探索を行う。 海洋産細胞毒性物質オーリライドについては、そのプローブ分子を用いた釣竿法による標的分子探索の結果、その標的分子がプロヒビチンであることがわかった。オーリライドは、プロヒビチンに結合し、ミトコンドリアを不安定化し、最終的にアポトーシスさせる。この現象は、プロヒビチンの機能を阻害した場合と同じであり、オーリライドを利用して、プロヒビチンによるミトコンドリア安定化機構が解明するための実験をしている。
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