2010 Fiscal Year Annual Research Report
サキシトキシン類の合成を基盤としたサブタイプ選択的Naチャネル阻害剤の創製研究
Project/Area Number |
20310130
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
長澤 和夫 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10247223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 まり 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50192430)
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Keywords | サキシトキシン / ナトリウムチャネル / 阻害剤 / 全合成 / 構造活性相関 / サブタイプ選択性 / グアニジン / 1,3-双極子環化反応 |
Research Abstract |
電位依存性Naチャネル(NaCh)は、神経細胞における活動電位の調節を担う膜タンパクであり、電位依存型とアミロライド依存型に大別される。近年、電位依存型NaChには9つのサブタイプが存在し、その存在比は細胞種によって異なることが明らかとなった。これらは各々が、痛覚、心拍、筋肉伸縮等の重要な生命活動と密接に関係していることがわかっているが、それぞれの電流成分を区別するための特異的阻害剤が存在しない。このため各サブタイプの機能は未だ解明されていない。本研究では電位依存型NaChのリガンドの1つであるサキシトキシン(STX)に着目し、化学的に合成したSTX類縁化合物をNaChサブタイプ選択的なリガンドとして開発するための研究基盤構築を目標とした。当該目標に対し、平成21年度までにSTX類の一般的合成法の確立に成功した。そこで今年度は、チャネルサブタイプ問の差異が見られるドメイン1との相互作用に重要なSTXの13位に着目し、開発したSTX合成手法を基盤として、13位に窒素官能基(N_3,NH_2,NAc)を導入した新規誘導体の合成に成功した。合成した化合物に対して、細胞レベルでのNaCh阻害活性、およびパッチクランプ法による阻害活性評価を行った。その結果、N_3,NH_2を導入した誘導体は、STXに比べていずれのチャネルサブタイプ(テトロドトキシン感受性およびテトロドトキシン抵抗性サブタイプ)の場合も約1/10程度活性が低下した。一方、13位を天然のカルバモイル基からNAc基へと変換した誘導体では、約1/100程度阻害活性が低下することがわかった。現在までに、サブタイプ選択的なリガンドの創製には至っていないが、今後、開発したSTX合成法を基盤として更なる構造展開を行い、チャネルサブタイプ選択的なリガンド開発を行っていく。
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Research Products
(9 results)