2008 Fiscal Year Annual Research Report
多機能性抗がん物質ラメラリンの活性発現分子機構の解明と制御
Project/Area Number |
20310135
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩尾 正倫 Nagasaki University, 工学部, 教授 (00100892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 郁人 長崎大学, 生産科学研究科, 教授 (10192486)
福田 勉 長崎大学, 生産科学研究科, 助教 (80295097)
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Keywords | 抗がん剤 / サイクリン依存性キナーゼ / トポイソメラーゼI / ラメラリン / ドッキングシミュレーション / 構造活性相関 |
Research Abstract |
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害を作用機序とする新規抗がん剤の創製を目的に、リード化合物ラメラリンNとCDK2とのドッキングシミュレーションを行った。その結果、ラメラリンNは、CDK2のATP結合ポケットに入り込み、3種の水素結合(8位水酸基とGlu81、13位水酸基とGln131、ラクトン環カルボニル基とLys89)により複合体を安定化し、ATPとの結合を阻害するものと推測された。そこで、各水酸基をメチル化した3種のラメラリンNアナローグを合成し、阻害活性を評価した。その結果8位水酸基または13位水酸基をメチル化したアナローグでは、阻害活性が大幅に減少した。一方20位水酸基をメチル化したアナローグにおいては、活性は保持された。この結果は、シミュレーションの妥当性を支持するものであり、高選択的なCDK阻害剤創製の可能性を示唆するものであった。 さらに、軸不斉を持つラメラリンNのエナンチオマー間での阻害活性を比較するために、光学分割を試みた。トリ-O-イソプロピルラメラリン保護体を用いて、光学活性カラムHPLCによる分割を試みたが、結果は不十分なものであった。今後は、適当なジアステレオマーに変換して分割を行う必要がある。 一方、ラメラリン類は、トポイソメラーゼIの強力な阻害剤であることも知られている。そこで新たに合成したアナローグのトポイソメラーゼI阻害活性も評価した。その結果、ラメラリン環1位のアリール基は、活性発現に不要であることが明らかになった。今後、ラメラリンの構造改変によりトポイソメラーゼI阻害とCDK阻害の活性の切り分けが可能になるものと期待される。
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