2010 Fiscal Year Annual Research Report
スプライシング異常による疾病発症メカニズムの分子論的基盤研究
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20310141
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
武藤 裕 独立行政法人理化学研究所, RNA生物学研究チーム, チームリーダー (30192769)
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Keywords | 前頭側頭型痴呆症 / RNA結合蛋白質 / Tra2β / NMR / 超遠心分析 / ITC / スプライシング / TRBP |
Research Abstract |
前頭側頭型痴呆症などに関連するTra2β蛋白質のRNA結合ドメインとその結合配列との複合体解析をさらに進め投稿論文として発表した。Tra2β蛋白質は、人とともにショウジョウバエなどの真核生物にも見られる普遍的なスプライシング制御因子であるが、アミノ酸の類似が高いにも関わらず、結合配列としてGAAGAA配列とUCAA配列の異なった結合配列が報告されている。今回、GAAGAA配列とTra2βのRNA結合ドメインとの複合体をNMR法により、決定することができた。これにより、AGAA配列が、特異的に認識されている様式を明らかにすることができた。さらに、UCAA配列との相互作用をNMR法によって調べたところ、この配列は、単純な一本鎖構造の中では、Tra2βのRNA結合ドメインとは強く相互作用しないが、この配列をループ部分にもつステムーループ構造のRNA分子では、AGAA配列と同程度に結合できることがわかった。また、AGAA配列をループ部分にもつステムーループ構造には、Tra2βのRNA結合ドメインは、まったく結合できなくなっていた。この結果は、ひとつの蛋白質が、状況によって異なる配列を認識する可能性を示す興味ぶかいものである。さらに、siRNAの生成に関与するDicerと共に働くTRBP蛋白質について、そのRNA結合に関与するふたつのRNA結合ドメインの構造決定と比較を行い、Protein Science誌に投稿した。このRNA結合ドメインは、二本鎖のRNA分子を認識することで知られたものであり、このふたつのRNA結合ドメインによる協働的なRNA認識様式についてITCを用いた実験により明らかにすることができた。
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[Presentation] Solution Structure of Splicing Factor Motif (SFM) in Prp18 from Homo sapiens2010
Author(s)
He F., Inoue M., Kigawa T., Takahashi M., Kuwasako K., Tsuda K., Kobayashi N., Terada T., Shirouzu M., Tanaka A., Sugano S., Guntert P., Yokoyama S., Muto Y.
Organizer
第33回日本分子生物学会年会・第83回日本生化学会大会 合同大会(BMB2010)
Place of Presentation
神戸
Year and Date
2010-12-07
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