2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20320002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 守 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20121460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 哲也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (20205727)
小田部 胤久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80211142)
中島 隆博 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20237267)
藤田 正勝 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90165390)
美濃部 重克 南山大学, 人文学部, 教授 (90065475)
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Keywords | ヘーゲル / フッサール / 西田幾多郎 / 場所 / 近代美学 / マルクス主義美学 / 平家物語 / 歌舞伎 |
Research Abstract |
本研究ロジェクトは、「ヨーロッパ部門」「中国部門」「日本部門」の三部門からなる。「ヨーロッパ部門」においては、本年度は、哲学的基礎論および美学理論と「場所」、「家族」、「国家」との関連性が探られた。たとえば、ヘーゲル弁証法と「空」あるいは「無」としての「家族」や「国家」の論議との関連性、また、フッサール現象学的な間主観性理論と西田哲学あるいは「国家」論との関連性、L.シュトラウスにおける自由と国家との問題、現代美学論と「場所」設定のもっ意味の問題などが、討議・検討された。「中国部門」においては、中国近代美術における「社会性」というテーマが提示され、中国の歴史的状況との関連でさまざまに論議されるとともに、近現代中国に見られる儒教復興という現象において、国家というものがどのように位置づけられているのかが論じられた。また、「日本部門」においては、中世文学に関し、『愚管抄』『平家物語』に描かれた「道理」「鬼神力(怨霊)」「観音力」等の意味が検討され、『平家物語』については、それが新たに解釈しなおされて、そこに表現された「鎮魂」の意味、その「国家」との関連性が、提示・検討された。また、近世芸能に関し、江戸後期の名古屋の役割番付等の資料に基づいて、上方歌舞伎の表現性、ならびに、国家権力との関係性が提示され、江戸歌舞伎との比較検討がなされた。さらに近代思想に関し、「近代の超克」が時代のスローガンとして大きな影響力を持つに至った1942年の『文学界』の座談会以降について、その同人達やいわゆる京都学派の哲学者たちが、「近代の超克」というこの問題にどのように関わったのかが、論じられた。以上により、今後の本プロジェクトの基本テーマを展開するについて、十分な基礎的成果が上げられた。
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Research Products
(15 results)