2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20320002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 守 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (20121460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 哲也 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (20205727)
小田部 胤久 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80211142)
中島 隆博 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20237267)
藤田 正勝 東京大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90165390)
安田 文吉 南山大学, 人文学部, 教授 (80121474)
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Keywords | ヘーゲル / フッサール / 西田幾多郎 / 場所 / 近代美学 / マルクス主義美学 / 平家物語 / 歌舞伎 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは、「ヨーロッパ部門」「中国部門」「日本部門」の三部門からなる。「ヨーロッパ部門」においては、本年度は、哲学的基礎論および美学理論が、具体的に国家論と関係づけられ、哲学・美学と国家との緊張関係が浮き彫りにされた。たとえば、家族という視点から見た現代の日・独の国家のあり方と、伝統的な日・独の哲学的国家論との同質性と背反性、また、国家による「顕彰=記念」という制度およびそのもとでの個人と、国家の歴史(廃墟の物語としての国家観)との、「修羅」と見うる関連性、さらに、木村素衞の国民教育論や和辻哲郎の日本文化論における、哲学・美学と国家論との一体性と異質性等が、論究され討議された。「中国部門」においては、近代国民国家において、哲学が芸術を範例にとりながら国家と結びついていく歴史的な経緯、ならびに、国家を超えて展開される哲学的思惟の可能性が論じられた。また、「日本部門」においては、哲学と芸術と国家との関係が日本の近代思想、とくにいわゆる「近代の超克」の問題との関わりにおいて考察され、また、『平家物語』に関して、その巻之三までに関し、思想・信仰の諸相が論究されると共に、上代から近代までの各種文献を駆使して日本人の病気や心理の攪乱を引き起こすものとしての「虫」(民族性)の研究が行なわれた。さらに、昨年に引き続き、京・大坂の芝居番付、絵尽し(絵本番付)、常磐津・清元・長唄の正本稽古本が収集・整理され、日本の伝統芸能と国家との錯綜した関係性が論究されると共に、江戸歌舞伎や、京・大坂の所謂上方歌舞伎、および、義太夫節以外の浄瑠璃に関し、基礎研究が遂行された。以上により、本プロジェクトの基本テーマの多様な展開という点において、十分な成果が上げられた。
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Research Products
(31 results)