2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20320005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 雅彦 Kyoto University, 文学研究科, 教授 (50200001)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 和行 京都大学, 文学研究科, 教授 (60273421)
出口 康雄 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20314073)
杉村 靖彦 京都大学, 文学研究科, 准教授 (20303795)
神埼 宣次 京都大学, 文学研究科, 助教 (50422910)
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Keywords | 健康科学 / 生命倫理学 / 公衆衛生 |
Research Abstract |
二年目となる2009年度においては、前年度からの理論的研究に現実的問題を接続するという試みが遂行された。とりわけ、ノルデンフェルトの『健康の本質』に関する各種の批判的議論は、現実的問題との関わりにおいて理論的批判を行っているものであり、これらの精査は極めて有効であった。 具体的な研究成果の公表としては、2009年4月に京都大学で開催された応用哲学会第一回大会において、ワークショップ「健康概念の哲学的倫理学的考察(1)」を研究代表者をオーガナイザーとして開催した。同学会においては、研究分担者の出口も「健康」概念の構築と深く関わる統計学に関して「統計学の哲学の逆襲」と題するワークショップを主催した。 まず、ノルデンフェルトの健康概念がWHOの「国際生活機能分類」と比較検討され、健康概念の錯綜は各種め「能力」概念の存在に起因するものであることが明らかとなった。このことは、能力に関する諸概念、例えぼability, capabilityなどについてのメタ倫理学的考察が必須であることを意味する。この考察は、健康概念を社会的構築物であるとする最近の社会学的考察に対して、一定の評価をしつつも、その問題点を明らかにすることにもつながった。ついで、健康概念が社会的な事柄と深く関わるという問題意識は、最近の疫学研究におけるソーシャルキャピタルへの注目、とりわけ社会的格差と健康の相関関係への注目と関連させることになり、この点に関する最新の知見が集積、分析された。さらに、医療の専門家、とりわけ臨床疫学による健康概念の構築の際に用いられる統計学的手法に関しても、科学哲学的な見地から批判的検討を加えるための基礎的考察がなされた。 以上めような、純粋に理論的な考察から具体的、現実的問題への架橋は、最終年度における新たな健康概念の提言の作成入ともつながるものであり、その成果は、まずは本年度の公衆衛生学会での研究代表者による招待講演として公表される予定である。
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Research Products
(16 results)