2011 Fiscal Year Annual Research Report
文化遺産としての大衆的イメージ-近代日本における視覚文化の美学美術史学的研究-
Project/Area Number |
20320020
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金田 千秋 筑波大学, 芸術系, 教授 (80224624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島本 浣 京都精華大学, 芸術学部, 教授 (30154280)
岸 文和 同志社大学, 文学部, 教授 (30177810)
佐藤 守弘 京都精華大学, デザイン学部, 准教授 (10388176)
加藤 哲弘 関西学院大学, 文学部, 教授 (60152724)
前川 修 神戸大学, 文学部, 准教授 (20300254)
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Keywords | 大衆 / イメージ / 視覚表象 / 文化遺産 / コレクション / 展示 / 流通 / 小芸術 |
Research Abstract |
本研究は、大衆的な視覚表象(イメージ)を文化遺産の観点から美学・美術史学的に考察することを目的とする。具体的には、まず、日本において「大衆」がはじめて成立した大正期に流通していた紙媒体の視覚文化に注目し、可能な限り詳細かつ広範囲な資料調査に基づいて、その全体像(注文・生産・流通・消費過程を含む)を明らかにすることを目指す。そのうえで、当該期の視覚文化を構成する大衆的イメージが「文化遺産」として継承されるとするなら、いったいどのような範囲のモノが、どのような形態で、いかなる理由によって、何を記念するものとして選ばれるべきかについて考察することを課題とする。 平成23年度は、研究代表者・研究分担者・連携研究者、ならびに研究協力者が、それぞれ個別的に、美学・美術史学的な問題を提起し、解決することを試みるとともに、最終年度のプロジェクトとして、「研究成果報告書」の刊行を行った。収録されているのは、もっぱら「文化遺産」の理論的アスペクト(価値と保存)に定位したものとして、金田千秋「物質の批評可能性―チェーザレ・ブランディの『修復の理論』」、加藤哲弘「ルーモールと中世美術―文化財保存における価値判断の問題」がある。また、「大正」を中心とした視覚文化の諸相に迫るものとして、及川智早「近代日本における古代文献の受容とその図像化について」、鈴木廣之「仏像の〈近代〉―鎌倉大仏の評価史から」、佐藤守弘「仏像写真論序説―仏と美術と観光と」、岸文和「〈スタンプ狂の時代〉―昭和一〇年の蒐集熱と観光旅行」、石田美紀「活動写真、活動写真劇、そして映画―批評誌『キネマ・レコード』を中心に」、石田あゆう「金尾文淵堂と大阪出版文化―新聞社との関係を中心に」、橋爪節也「丹平ハウスと洋画家・赤松麟作―大正末・昭和初期〈大大阪〉時代のチラシを通じて」、山田俊幸「大正の趣味と版画」などがある。また、商業美術と挿絵について、研究協力者の貴重な論考を収録し、大正時代を中心とした大衆的な視覚文化を全体的に概観しうるものとなっている。
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Research Products
(24 results)