2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロマン主義時代の旅行記とその歴史的背景~国家意識・国民意識の変容を中心にして
Project/Area Number |
20320044
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
草光 俊雄 The Open University of Japan, 教養学部, 教授 (90225136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅之 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (50091195)
鈴木 美津子 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60073318)
ALVEY なほ子 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20313174)
大石 和欣 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (50348380)
笠原 順路 明星大学, 人文学部, 教授 (00194712)
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Keywords | ロマン主義 / 旅行 / 言説 / 国家意識 / 国民意識 / 移動 / グランド・ツアー |
Research Abstract |
本科研2年目にあたる平成21年度は、イギリス国内外の人間物資の流動化と国民意識の変容についての考察において進展が見られた。 Alveyはイギリスの拡大する「帝国」が、イギリス人の想像力に与えた影響を、Percy Bysshe Shelleyの作品を中心に分析し、学術書として出版した。石幡は昨年度に引き続き、ウルストンクラフトの『北欧旅行記』を文明批判と進歩思想が相半ばする旅行記として翻訳を進めた。鈴木美津子は、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』やエリザベス・ギャスケルの『北と南』を取り上げ、これらの小説に描かれたイングランド南部から北部への旅、そしてイングランド北部住民の地方意識の形成について検証し、さらにロマン主義時代の小説と比較検討した。笠原は、バイロン『貴公子ハロルドの巡礼』第4巻の「ベルヴェデーレのアポロ」の典拠をH. H. Milman, The Belvidere Apollo(1812)であると特定し、バイロンがこの時代の廃墟趣味を否定しようとして当該部分を書いた、と論じた。また、鈴木雅之は、「姉妹芸術」あるいは「エクフラシス」の観点から、ブレイクが《ラオコーン群像》(絵)に関するテクストと絵の複雑な関係について考察を加えた。草光と大石は、18世紀から19世紀にかけてのグランド・ツアーをはじめとする旅行おいて占めるイタリア都市の表象について、当時のイギリスの帝国主義的覇権拡張の中における国民意識の変容と絡めて学会発表、論考発表を行った。
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Research Products
(13 results)