2011 Fiscal Year Annual Research Report
ロマン主義時代の旅行記とその歴史的背景?国家意識・国民意識の変容を中心にして
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20320044
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
草光 俊雄 放送大学, 教養学部, 教授 (90225136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 順路 明星大学, 人文学部, 教授 (00194712)
鈴木 雅之 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (50091195)
大石 和欣 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (50348380)
鈴木 美津子 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60073318)
石幡 直樹 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (30125497)
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Keywords | ロマン主義 / 帝国 / 旅行記 / グランド・ツアー / 国民意識 / 国家意識 / オリエント / 植民地主義 |
Research Abstract |
昨年度の問題点を解決しながら、18世紀から19世紀にかけてイギリスが進出した各地域の旅行記の中に潜む国家意識・国民意識を分析する調査を継続した。草光俊雄が全体を統括しながら、本年度は二つの国際学会を本科研研究遂行の一環として行った。7月に神戸国際会議場において"Coleridge, Romanticism, and the Orient : Cultural Negotiations"と題して、ほかの科研共同研究と連携しながら3日間の学会を主催し、そのうちの一日分のプログラムを旅行とオリエントをキーワードとして、この時代の人間や物資の太平洋・大西洋をまたぐ移動が、イギリスにおける国民意識と文化をどのようにへんようさせていったのかを辿った。本科研の研究成果発表および意見交換に当てた。また、3月末に学習院大学において"History of Consumer Culture"をほかの科研共同研究と連携して主催し、この時代の消費文化に絡む労働力や商品の流通が引き起こした文化的な変容を国民の日常生活レヴェルにおいてたどった。 また、研究分担者は個別にテーマに沿った研究を進め、石幡はメアリ・ウルストンクラフトの『北欧からの手紙』の翻訳を完成し、ロマン主義時代における女性と旅の関係性を追究し、笠原は「瀕死の剣闘士像」をめぐる表象の問題を明らかにし、論文を発表した。また、鈴木雅之はT・S・エリオットにおけるロマン主義の影響、コウルリッジとの比較を含めたブレイクにおける美術と政治の複雑な関係を考察し、講演および論文を発表し、鈴木美津子は異国への旅をモチーフとしてもつシドニー・オーエンソンの『宣教師』、サー・ウォルター・スコットの中編小説「外科医の娘」、シャーロット・ブロンテの『ヴィレット』を取り上げた論文を発表した。大石は、ヘレン・マライア・ウィリアムズの『フランスからの手紙』における旅と移動の意義、奴隷貿易が文学と女性の意識および国民意識に与えた影響と意義を考察した論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標であった国際学会を開催し、研究成果を国際的な形で発表することができた。また、それに絡めたテーマの論文を各研究者が執筆し、公にすることが概ねできた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、本科研の最終年度である。とくに大きな研究計画の変更はする必要はないと考えている。 国民意識の変容の問題がまだ十分に明らかになっていないので、その点を意識しながらこれまでの研究成果をとりまとめていく予定である。
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Research Products
(16 results)