2012 Fiscal Year Annual Research Report
ロマン主義時代の旅行記とその歴史的背景~国家意識・国民意識の変容を中心にして
Project/Area Number |
20320044
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
草光 俊雄 放送大学, 教養学部, 教授 (90225136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 順路 明星大学, 教育学部, 教授 (00194712)
アルヴィ なほ子(宮本なほ子) 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (20313174)
石幡 直樹 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (30125497)
鈴木 雅之 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (50091195)
大石 和欣 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50348380)
鈴木 美津子 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60073318)
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Project Period (FY) |
2008-04-08 – 2013-03-31
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Keywords | ロマン主義 / 帝国主義 / 旅行記 / オリエンタリズム / 国民意識 / 国家意識 / 植民地主義 / 異文化間交渉 |
Research Abstract |
最終年度となる本年は、成果を各自論文の形で活字化する作業が中心となった。未着手であったアフリカ地域との関係性、ポストコロニアリズムの視点を取り入れた旅行記などについて研究成果を出せたのが特に有意義である。異文化間交渉を通して国民・民族=ネーションの概念が一種の虚構として、国家が想像の共同体として、文学のなかに胚胎されていく過程が明らかになった。 草光(代表者)はアフリカ史を俯瞰しつつ、19世紀から20世紀前半にかけてアフリカ側の民族意識の高まりと帝国としてのイギリス国民の意識の変容を追った。鈴木雅之(分担者)はフェリシア・へマンズのヴェニスやワーテルローへの空想の旅の記録のなかに、類似する古代美術品、ボンベイ遺跡、戦没者墓の描写が含まれ、そこにイギリス帝国主義批判が潜むことを明らかにした。アルヴィ(分担者)は南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドへの訪問、滞在において、新しい風景や文化に触発されて多くの絵画を制作したオーガスタス・アールの作品の検証を通して、旅行者の視点と移民の視点との違いを考察した。石幡(分担者)は、ウルストンクラフトの『北欧からの手紙』を翻訳・出版する過程で、北欧旅行記が示唆するジェンダーの問題がこの時代における女性の国家・国民意識に潜在していることを証明した。鈴木美津子(分担者)は、ジェィン・オースティンが生きた摂政時代を考察する一方で、ウォルター・スコットの「外科医の娘」に見られる危険な他者としてのインド亜大陸の意義を研究した。大石(分担者)は公共圏における国民意識についてジェンダーの観点から考察した。笠原(分担者)は、ウィリアム・サザビーが、『さらばイタリアよ、ほか』と、その大幅な改定版『イタリアほか』に載せた『ローマ』に含まれる Dying Gladiator stanzas を精読し、語釈・和訳をほどこし、その特質を比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)