2009 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代における文化的アイデンティティと新たな世界文学カノンの形成
Project/Area Number |
20320052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
沼野 充義 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (40180690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野谷 文昭 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (60198637)
柴田 元幸 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90170901)
毛利 公美 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (30419212)
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Keywords | 世界文学 / 翻訳 / 広域英語圏文学 / ラテンアメリカ文学 / ロシア東欧文学 / 亡命文学 / 現代日本文学 / 文学的カノン |
Research Abstract |
本研究は現代世界の文学の複雑なプロセスをできるだけ広い視野から調査し、新しい文学研究のあり方を探るものである。今年度重点課題としたのは、「グローバル化時代の越境的体験と文化的アイデンティティ」であり、代表者が主な専門領域とするロシア東欧の他、分担者と緊密な連携をとりながら、広域英語圏、広域スペイン語圏における越境的な作家とその創作を、個別の様々な例に即して調査・分析した。 具体的には、現代アメリカの作家レベッカ・ブラウン、ブラジルの映画研究者ジョアン・ルイス・ヴィエイラ、ロシアの作家ボリス・アクーニン、ベオグラード在住の詩人・文学研究者山崎佳代子、ベルリン在住のソ連出身作家ヴラジーミル・カミーナー、オーストリア在住のユダヤ系(ロシア出身)作家ヴラジーミル・ベルトリープなどをゲストとして招き、講演会を開催するとともにそれぞれの作品の検討を行なった。 また7月には加藤有子の企画協力により「シュルツ祭」というシンポジウムを行って、ポーランドのユダヤ系作家ブルーノ・シュルツの創作と生涯を検討した。10月にはボルヘス会に協力して、ボルヘスと南北アメリカという主題を検討した(野谷・柴田)。11月にはセルビア出身のユダヤ系作家ダニロ・キシュをめぐるシンポジウムを、奥彩子・山崎佳代子といった専門家の参加を得て開催した。また2010年3月には、ナボコフ研究者(マリコワ、バビコフ、レヴィング、シュライヤー父子、ネポムニャシチー)を米露から招き、連続講演会を通じて、亡命作家の詩学と生涯を検討した。 これらの研究活動を通じて、越境的体験を持つ様々な作家の個別例について、豊かな事例が収集され、多分野的な視点から今後総合分析していくための資料が十分集められたと自己評価している。
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Research Products
(13 results)