2009 Fiscal Year Annual Research Report
中国朝鮮族と回族の民族教育と民族アイデンティティ形成に関する総合的研究
Project/Area Number |
20320113
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
松本 ますみ Keiwa College, 人文学部, 教授 (30308564)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敦子 早稲田大学, 教育総合科学学術院, 教授 (90195769)
小林 元裕 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 准教授 (80339936)
権 寧俊 新潟県立大学, 国際地域学部, 准教授 (20413172)
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Keywords | 東アジア近現代史 / 民族教育 / アイデンティティ / イスラーム復興 / グローバリゼーション / 移民 / 国民統合 / 民族政策 |
Research Abstract |
平成21年度には、松本と小林(新保)敦子は9月に雲南省の少数民族公教育の実態視察と回族のイード・ル・フェトル(開齋節)の参加とインタビューを行なった。また、松本は、11月に中国ムスリムの中東留学の実態についてレビューを受けるため、イランを訪問した。イランではイスラーム民間女子教育機関の訪問調査を行なった。花井みわは1月に北京と延辺朝鮮族自治州を訪れ、旧「満州国」時代に日本語教育を受けた朝鮮人知識分子がいかに、人民共和国の中の「朝鮮族」として統合されていったのかをインタビューで明らかにした。権は7月から8月にかけてソウルと中国の延辺朝鮮族自治州と黒龍江の朝鮮族居住地を訪れ、朝鮮族の国民意識とエスニックアイデンティティについてアンケート調査を行なった。砂井は、2月末から3月初にかけて、福建省泉州近くの調査地で、イスラーム学校成達師範学校を卒業した老人の档案を閲覧し、民族教育と民族アイデンティティのありようを考察した。以上の調査・研究内容の一部は、別表のとおり学会誌・紀要と学会報告で発表された。また、本科研メンバーが集まって、合宿研究会2回(4月、12月)を開催し、議論を重ねた結果、以下のことが明らかになった。 1)グローバリゼーションの進捗、国内外への流動人口の増加と民族教育の進展/弱体化とともに、回族と朝鮮族の何れの中も、民族意識を強めるものと、弱めるものが生まれ、両極端に分化しつつあること。2)回族/朝鮮族という民族成分は近代国家で作られたもので、実際のアイデンティティと齟齪が年齢によって生じることもあること。3)国家は、アイデンティティのありようにも干渉すること。4)世界的現象としてのイスラーム復興の流れの中で、中東での言説は即時に中国にも伝わり、「イスラームらしさ」「回族らしさ」を創造すること。激しい人口流動と中国の経済大国化の中でディアスポラ民族の回族と朝鮮族について以上のことが明らかになった意義は大きい。
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Research Products
(24 results)