2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国朝鮮族と回族の民族教育と民族アイデンティティ形成に関する総合的研究
Project/Area Number |
20320113
|
Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
松本 ますみ 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (30308564)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敦子 早稲田大学, 教育総合科学学術院, 教授 (90195769)
小林 元裕 新潟国際情報大学, 情報文化学部, 教授 (80339936)
権 寧俊 新潟県立大学, 国際地域学部, 准教授 (20413172)
|
Keywords | 中国近現代史 / アイデンティティ / 公教育 / 民族教育 / 国民統合 / 人口移動 / イスラーム覚醒 / グローバリゼーション |
Research Abstract |
本研究の特徴は、歴史的に形成されたエスニシティが、どのように現在までエスニック意識を保っているのか、民族教育、政治環境、国際環境の関係はどうなのかということを、中国の回族と朝鮮族という二つの流動性の高いエスニシティを比較して考察することにある。 小林元裕は在中朝鮮人が人民共和国建国後どのように「朝鮮族」として統合されていったのかを明らかにするため、2011年2月6日~13日に台湾の國史館で資料収集に当たった。調査では外交部『東北日韓僑遣送及管理弁法等案(1942~1948年)』中の「僑民我国日韓人統計」、「関於管治東北韓僑之蒭議」等の文書を収集した。これら資料をもとに在中朝鮮人居留民の帰還と戦後米国の東アジア国際戦略の関連性をまとめた。砂井紫里は9月3日から16日にかけて、福建省泉州近くの調査地でラマダーンと開齋節の参与観察・インタビューを実施した。祭日の運営で国内でのイスラーム学習経験者と海外留学経験者とが役割分担し、政府による宗教活動とくに対外国人管理に戦略的に対応していることを明らかにした。清水由里子は2011年2月27日から3月11日にかけてトルコ共和国イズミル(ウルラ)における海外調査を実施した。未開拓の中華民国期資料を入手し、また同時代の歴史証言を採取し、ウイグル/チュルク・アイデンティティの形成のありかたを探った。松本ますみは2010年9月14日~19日に浙江省義烏市で寧夏出身回族アラビア語通訳20名と面談しアンケート調査を行った。イスラーム学習を中心とする民族教育とムスリム・アイデンティティが強力に結びついていること、海外ムスリムと国内ムスリムの連携による経済波及効果が明らかになった。権寧俊は2011年3月23日から5日間、延辺大学と延辺朝鮮族教会でアンケート調査を行った。民族教育経験のある朝鮮族は民族意識が強く団結力があり、語学力を生かして沿海部や韓国へと高い流動性をもっていることが明らかになった。
|
Research Products
(27 results)