2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20320126
|
Research Institution | National Research Institute Cultural Properties, Nara |
Principal Investigator |
松村 恵司 National Research Institute Cultural Properties, Nara, 都城発掘調査部, 部長 (20113433)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
次山 淳 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (80260058)
|
Keywords | 考古学 / 日本古代史 / 貨幣史 / 出土銭貨 / 和同開珎 / 富本銭 |
Research Abstract |
本研究は、富本銭と無文銀銭、和同開珎について、出土銭貨が内包する考古学的情報の分析を通して、わが国の貨幣制度の確立の過程を考究し、新たな視点から初期貨幣史の再構築を目的とするものである。 3ヵ年計画の初年度にあたる平成20年度は、研究実施計画に沿って以下の研究を行った。 1.初期貨幣(無文銀銭・富本銭・和同開珎)出土資料の整理・分析作業:2006〜2008年に行った和同開珎全国出土集成データの分析をおこない、銭貨の出土が主に古代の官道周辺に集中する傾向を見出した。また注目される地域の出土事例を、研究協力者に研究集会で報告を依頼し、その性格について検討を加えた。 2.和同開珎の型式分類とその年代的検討:2007年に行った銭貨鋳造実験で得られた鋳縮み率を基に、平城京出土銭范を再調査した結果、種銭の鋳造用鋳型である可能性が高まり、律令国家の銭貨生産体制の一班が明らかになった。さらに、古泉学による和同開珎の型式分類を整理し、出土銭貨研究への応用法を検討した。 3.日・唐間の貨幣関係法制史料の収集と比較検討:唐中期の大銭に関する文献史料を収集し、大銭の形制を調査した結果、これまで性格の不明であった西大寺出上賈行銀銭が、唐の大銭を模倣した当五百銭の試鋳貨である可能性が浮上した。 4.研究集会「出土貨幣研究の課題と展望」を開催し、弥生・古墳時代から平安時代の出土銭貨をめぐる論点を整理し、豊前と播磨の産銅と鋳銅遺跡に関する分析を行った。 5.研究集会の記録集『和同開珎をめぐる諸問題(三)』を刊行するとともに、研究成果の一端を『出上銭貨日本の美術第512号』として公表した。
|
Research Products
(3 results)