2008 Fiscal Year Annual Research Report
文化財保護制度における世界遺産条約の戦略的受容と運用に関する日韓比較研究
Project/Area Number |
20320133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 通弥 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60192506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川森 博司 神戸女子大学, 文学部, 教授 (20224868)
高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (30202146)
淺野 敏久 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (00284125)
才津 祐美子 長崎大学, 環境科学部, 准教授 (40412613)
青木 隆浩 国立歴史民俗博物館, 研究部, 准教授 (70353373)
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Keywords | 世界遺産条約 / 無形文化遺産条約 / 文化財保護法 / 韓国 / ローカライズ / 重要無形民俗文化財 / 原形 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究は「文化」に関する一つのグローバル・スタンダードとしてのUNESCOの世界遺産条約と無形文化遺産条約を、日本及び韓国の文化財保護制度がローカライズ/ナショナライズしてゆく局面において、どのように読み替えつつ受容し、またどのように現実との齟齬を調整しながら運用しているのかを、比較の視点から明らかにする。初年度の平成20年度には、韓国人研究者が日本の代表的な国指定重要無形民俗文化財である青森と弘前のねぶた祭りの調査を行う一方、日本側が韓国の代表的な「伝統的民俗村」であり、国の重要無形文化財に指定された仮面劇の行われる安東市河回村(ハフェ・マウル)を踏査し、互いの民俗文化財の世界遺産化に向けた現状を確認するとともに、共同研究会及び韓国民俗学会においてこのテーマに関する国際シンポジウムを行って、相互の現在的問題点を確認し、論点を浮き彫りにしLた。特に今年度、浮上してきた問題は、両国の文化財保護法および保護制度における規定や運用の仕方の相違であり、日本の規定にはない「原形(ウォンヒョン)」という概念をめぐって、韓国では民俗学会をはじめ、人文コンテンツ学会など、さまざまな学会でUNESCOの条約における「無形文化遺産」の定義との齟齬と摺り合わせが、検討すべき点として大きな課題となっている実態が明らかになってきた。韓国の文化財保護法は先に制度化された日本の条文の影響を受けつつも、「原形」という独自の条項に起因する諸問題が生起し、それが「人間国宝(文化財保有者)」の資格継承といった保存管理のシステムにまで及んでいる、制度上および運用上の相違を見出した。
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Research Products
(19 results)